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学校プール廃止についての報告書 1

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いつ、どこで、誰が学校プール廃止を決定しのか不明

1.(1)学校プール廃止は、 2019年1月22日の「泉南市教育委員会平成31年第1回定例会」で決定したのではない。



 2019年12月6日の泉南市議会会議録 令和元年第4回定例会(第3号)本文に以下の質疑、答弁があり(註:当該箇所に下線)、学校プール廃止が平成31年1月の教育委員会の定例会で決定されたと答弁されています。 
◯13番(和気信子君)  (前略)また、今回の廃止の提案は、教育委員会から出されたというふうには思いますが、最終判断は誰がされたのでしょうか、お聞かせください。
◯議長(南 良徳君) 岡田教育部長。

◯教育部長(岡田直樹君)  (前略)また、2つ目のプール廃止等の関係でございます。学校プール施設の利用停止 については、まず市事務局側で検討を行い、そして平成31年1月の定例会において、被災以後のプールの安全確保が不十分であること、あるいは来期の一般開放事業の実施が困難 であること等、それから水泳授業については、一部温水プールへの移行を検討し、今後全面的に温水プールへ移行していくということ御説明し、学校プールを近い将来廃止してい く方向であるということについて御説明を行いまして、そこで了承を得て教育委員会で決定していただいたものでございます。 以上です。

◯議長(南 良徳君) 和気議員。
◯13番(和気信子君)  そうしますと、前のときは本当にお金、マイナス5%シーリングで、どこかを削らなあかんというたときに、御提案されても最終的には市長が判断できたということであるんですけれども、そうすれば今回もいろんなことがあっても、子どもたちにとって大事やというふうに思えば、市長がやっぱりこれは子どものために残したほうがいいんじゃないかということになれば、決まるかなというふうに、今回はそう思いましたので、そのことについてお聞きしたんです。もうそれはあくまでも権限は教育委員会のほうにあったということなんですね。その辺をちょっとお答えください。
◯議長(南 良徳君) 岡田教育部長。
◯教育部長(岡田直樹君) 今回、学校プールで水泳授業をしないこと、プール自体を使っていかないことを決めたのは教育委員会でございます。 以上です。

 

 しかし、平成31年1月教育委員会定例会の会議録を見ると、「市立学校における今後のプールのあり方について」は「事務局報告」の中で報告されています。

 また、泉南市教育委員会の点検・評価「平成30年度 点検・評価報告書」(PDF)III.教育委員会会議の開催状況」(PDF)には、「(1)令和元年度 教育委員会会議審議案件」と「(2)令和元年度教育委員会会議報告事項」に分けて、会議の内容が記載されているのですが、件名「学校プールのあり方等について」(提出日1月22日)は「審議案件」ではなく、「報告事項」の欄に掲載されています。

泉南市ウェブサイト>教育委員会ポータルサイト>教育委員会>教育委員会の点検・評価の「平成30年度 点検・評価報告書」の 3.教育委員会会議の開催状況 p.9

https://www.city.sennan.lg.jp/ikkrwebBrowse/material/files/group/32/3H30.pdf



 平成31年1月教育委員会定例会の会議録を見ると、教育委員会委員は「検討中」であると説明を受けただけです。泉南市議会会議録 令和元年第4回定例会(第3号)にある岡田教育部長の答弁は事実に反します。学校プールで水泳授業をしないこと、プール自体を使っていかないことを決めたのは 狭義の教育委員会ではありません。
 では、学校プール廃止は、いつ、どこで、誰が決めたのでしょうか。 事業を行うには予算が必要です。予算の動きを見てみます。



1.(2)独立した執行機関であるはずの教育委員会。しかし学校プールに関する予算要求は教育委員会(狭義)の意思決定が及ばないところで決められている。


 2018年12月の教育委員会定例会で 「平成31年度大阪府泉南市一般会計当初予算に係る要求(案)について」が審議されています。

以下は2018.12.17 泉南市教育委員会平成30年第12回定例会会議録です。


泉南市教育委員会平成30年第12回定例会会議録より引用開始

○桐岡教育総務課長
 それでは、議案第3号、平成31年度大阪府泉南市一般会計当初予算に係る要求(案)教育委員会所轄分について説明させていただきます。
 まず、平成31年度の当初予算要求につきましては、財政課から平成31年度の予算編成方針が出されております。
(略)
 それを受けまして、お手元の資料をご確認ください。ページをめくっていただきまして、課ごとに主な事業について、要求額を載せております。
(略)
 次に、学校プール授業事業については、前年度比771万6,000円の増額となっております。増額の主な要因といたしましては、修繕料が450万円の増額。備品購入費が208万6,000円の増額となったためでございます。

引用終了



 会議録の学校プールに関する予算要求部分に下線を引いています。学校プールに関する内容は会議録の中でこの箇所だけです。学校プールに関する事業には、水泳授業を学校プールで行うための「学校プール授業事業」(以下、授業事業)と夏休みに学校プールを開放する「学校プール一般開放事業」(以下、一般開放事業)の二つがあります。しかし、会議録にあるのは授業事業のみで、一般開放事業についての記載がありません。例年通りで増額も減額もない為に記載がないのかもしれないと思ったのですが、確認のために、この平成30年第12回教育委員会定例会議案第3号「平成31年度一般会計当初予算に係る要求(案)」資料を情報公開請求しました。しかし、資料にも一般開放事業に関する記載はありませんでした。資料から授業事業に関して記載されている箇所を転記します。

転記

 学校プール授業事業の主な事業内容等


単位:千円 

◯修繕料 4,800/300(+4,500)、し尿汲取手数料 291、プール開設準備委託1,5301,485(+45) プール総合管理委託 3,313/3,256(+57) 備品購入 2,700/614(+2,086)

註:金額の部分は 31年度予算要求額/30年度予算額(前年比増減) 

 

  プール開設準備委託とプール総合管理委託は45~57(千円)の微増です。しかし、修繕料と備品購入が桐岡教育総務課長の発言にあるように、かなりの増額になっています。さらに、し尿汲取手数料(下線箇所)は金額の後に前年比増減額の記載がありません。前年度の予算では、し尿汲取手数料はどこに計上されていたのでしょうか。平成30年度予算書の内容を確認しました。


平成30年度大阪府泉南市一般会計予算説明書 歳出

 款9教育費 項1教育総務費 目6プール施設費

[2]学校プール一般開放事業 p.343 当該箇所を複写し、薄く色をつけてあります。

https://www.city.sennan.lg.jp/ikkrwebBrowse/material/files/group/8/h30_yosansyo.pdf


平成30年度 教育費 学校プール一般開放事業予算書

 平成30年度予算を見ると、し尿汲取手数料は、 授業事業に計上されておらず、一般開放事業に計上されていました。上の表は平成30年度予算の学校プール一般開放事業の節区分の内訳です。表のし尿汲取手数料 286(千円) と31年度予算要求額の291(千円)がほぼ同じなので、し尿汲取手数料は一般開放事業から授業事業に移動させて、31年度予算要求したと見てとれます。



 そして表のし尿汲取り手数料の上に記載されている修繕料4,500(千円)も同様です。平成30年度予算では一般開放事業で計上されていた修繕料4,500(千円)を平成31年度の授業事業予算要求額の修繕料増額分4,500(千円)として計上したと見てとれます。平成30年度予算の授業事業の修繕料と同額の300(千円)に一般開放事業からの移動分4,500(千円)を加算し、平成31年度予算では4,800(千円)を要求したのではないでしょうか。



 では残る備品購入費の増額について、さらに詳しく見てみます。情報公開請求した資料「平成31年度一般会計当初予算に係る要求(案)」には


学校プール授業事業の主な事業内容等  単位:千円

備品購入 2,700/614(+2,086)


と記載があり、授業事業の備品購入は平成30年度は614(千円)だったものが2,086(千円)の増額となり、平成31年度要求額は2,700(千円)と記載されています。しかし、昨年度(平成30年度)授業事業には節区分「備品購入費」がありません。節区分の記載は「14.使用量および賃借料」までです。



以下当該箇所を平成30年度予算書から複写し、薄く色をつけました。

平成30年度大阪府泉南市一般会計予算説明書 歳出

 款9教育費 項1教育総務費 目6プール施設費

[3]学校プール授業事業 p.343

https://www.city.sennan.lg.jp/ikkrwebBrowse/material/files/group/8/h30_yosansyo.pdf


平成30年度大阪府泉南市一般会計予算説明書 歳出  款9教育費 項1教育総務費 目6プール施設費 [3]学校プール授業事業 p.343

節区分の記載は「14.使用量および賃借料」までで「18.備品購入費」はありません。





平成31年度予算の授業事業の節区分には「18.備品購入費」が加わっています。以下当該箇所を平成31年度予算書から複写し、薄く色をつけました。

(10校分から3校分のプール予算になっているので金額は減っています)


平成31年度大阪府泉南市一般会計予算説明書 歳出

 款9教育費 項1教育総務費 目6プール施設費

[1]学校プール授業事業 p.369

https://www.city.sennan.lg.jp/ikkrwebBrowse/material/files/group/8/h31_yosansyo.pdf


平成31年度大阪府泉南市一般会計予算説明書 歳出  款9教育費 項1教育総務費 目6プール施設費 [1]学校プール授業事業 p.369

節区分に「18.備品購入費」が加わっています。


資料「平成31年度一般会計当初予算に係る要求(案)」には


学校プール授業事業の主な事業内容等  単位:千円

備品購入 2,700/614(+2,086)


と記載されていますが、この備品購入はもともと授業事業にはなく、一般開放事業の「節区分18.備品購入費」を移動させたと見てとれます。前年の614(千円)はそのまま一般開放事業の前年度備品購入費です。(p.3の平成30年度予算説明書[2]学校プール一般開放事業を複写した表参照)そして、増額分+2,086(千円)はこの備品購入費の平成29年度、平成28年度の額が平成30年度よりも大きかったことから、余裕を持たせた予算をつけていると考えられます。平成30年度一般開放事業 節区分18.備品購入費は614(千円)、平成29年度は1,586(千円)、平成28年度は2,500(千円)でした。




 つまり、2018年12月17日時点で教育委員会事務局は、一般開放事業を廃止する予定で予算を要求しています。し尿汲取手数料、修繕費、備品購入費などの、学校プールで水泳授業を行うために必要な予算を一般開放事業から授業事業に移動し計上していたことから推し測れます。しかし、会議録には一般開放事業廃止について全く言及がありません。予算に係る要求(案)の審議において、予算の事業区分の変更(目6プール施設費の 学校プール一般開放事業から 学校プール授業事業へ付け替え)や、事業を廃止する場合、事務局は教育委員会委員に対して説明し、承認を得る必要があるのではないでしょうか。




 念の為に付け加えると、平成31年度授業事業の予算要求額2,700(千円)の修繕費は2018(平成30)年の台風被害の修繕費とは関係ありません。台風被害の見積額は追加調査委託料を除き10校分で64万7,960円です。私たちが情報公開請求した「被害金額報告書(速報)」「歳出予算整理簿2018年度小学校災害復旧事業」「歳出予算整理簿2019年度小学校災害復旧事業」と「平成30年度決算書」から作成した「2018(H30)9月4日の台風21号被害に関わる経費」を見てください。実際に災害復旧費一般会計として支出した額は、平成30年から令和元年5月10日までで86万6,640円で、台風被害は授業事業の修繕費とは別に計上されています。




 では、次の定例会(2019年1月22日開催)の会議録「泉南市教育委員会平成31年第1回定例会会議録」を見てみま。ここでようやく岡田教育部長が、夏休みの学校プール一般開放事業の中止を教育委員会委員に報告します。しかし、先月の定例会の予算要求案において、学校プールで水泳授業を行うために必要な予算を一般開放事業から授業事業に移動し計上していたにも拘わらず、授業事業でも学校プールを使わない方針と言い出しました。何とか使えそうな3校のプール以外は民間の事業者のプールの利用を検討しており、近い将来、全てのプールを閉鎖せざるを得ないと教育委員会委員に報告しています。以下は「泉南市教育委員会平成31年第1回定例会会議録」の学校プールに関する部分の一部引用です



泉南市教育委員会平成31年第1回定例会会議録(2019年1月22日開催)より引用開始


○岡田教育部長

市立学校における今後のプールのあり方についてですが、(略)かなり厳しい考え方をしてございます。(略)台風21号の被害等により学校プールでは稼動できないプールがございます。かなりの修繕を要するプール、あるいは修繕に要する経費の見積もりがまだままならないというような状態があるところでございます。(略)学校プール一般開放事業については、開催の見通しが立ちません。この夏は中止とせざるを得ないと考えております。(略)学校の通常授業としてとり行うプールの授業につきましても、やはり学校プールの利用自体がまだ目処が立たないこともありますので、民間の事業者が運営するプールの利用を検討しております

(略)今のところ何とか使えそうなプールが西信達中学校プール、信達小学校プール、砂川小学校プールの3施設となっております。したがって、これまでどおり授業で使用できるのが、西信達の小・中学校、信達の小・中学校及び砂川小学校、加えて泉南中学校には鳴滝プールで、授業をしておりますが、泉南中学校においては、第二阪和を超えたところにある信達小学校のプールに歩いて行けますので、そちらを使っていただこうと考えております。

 それ以外の学校については、先ほど申し上げた民間事業者のプールにバスを仕立てて移動するイメージで、今学校との意見交換をさせていただいているところです。

(略)

 学校のプールの施設設備は老朽化が進んできております。このたび修理ができない状態があり、修繕等の見通しが立たないということもございますが、今後の維持、改修コスト等を考えますと、平成31年度は先ほど申し上げた3カ所の学校プールは使用できますが、近い将来、全てのプールを閉鎖せざるを得ないと考えておるところでございます。


引用終了


 次に教育委員会定例会で学校プールに関する報告があるのは2019年3月25日の定例会です。「平成 31 年度大阪府泉南市一般会計予算(案)(教育委員会所管分) について 」の報告があり、学校プールに関する会議録の記載は以下の通りでした。


泉南市教育委員会平成31年第3回定例会会議録より引用開始


○桐岡教育総務課長

 それから、1つ飛びまして学校プール授業事業、これにつきましては平成31年の予算額が786万1,000円、平成30年度予算に比べ、マイナス179万9,000円となっております。減額の要因としては、学校プール授業をサンエス温水プールを使用して実施するということで、それにかかわるプール開設準備委託料と、プールの総合管理委託料が大幅に減になったためでございます。


引用終了


 以下の「平成31年度大阪府泉南市一般会計予算説明書 歳出 款9教育費 項1教育総務費 目6プール施設費[1]学校プール授業事業 p.369」と同じ内容です。


平成31年度大阪府泉南市一般会計予算説明書 学校プール授業事業


この日の定例会会議録の学校プールに関する記載箇所はここだけなので、1月の定例会の時に教育委員会委員に対して、検討しておりますとしていた民間プールをサンエス温水プールに決定したこと等、学校プール授業に関する詳しい説明はありませんでした。




 12月、1月、3月の教育委員会定例会会議録や、同会議で提示された予算要求の資料から、学校プールの廃止をいつ、誰が、どういう経緯で決定したのかを調べてきましたが、全くわかりません。


 12月の教育委員会定例会で審議した「平成31年度一般会計当初予算に係る要求(案)」では、事業区分を変更したり、予算をつけず事業を廃止する予定であることを教育委員会委員に説明していません。


 そして1月の教育委員会定例会では廃止する事業から予算を付け替えていた授業事業さえも、3校以外の学校プールを使わない方針と言い出します。12月の予算要求の時点で予算の付け替えを行なっていることから、12月17日以前に一般開放事業廃止は計画していたと思われます。しかし、この12月17日時点で水泳授業を全て学校プールで実施する予定だったのかどうかは不明です。水泳授業は学校プールを使用する予定だったのに、12月から1月の定例会までの間に急きょ学校プールを使わない方針に転換したのか、説明がないのでわかりません。


 3月の教育委員会定例会で示された予算の内容は議会で可決成立した予算の内容と同じものです。学校プール廃止という教育、市民のスポーツに大きな影響を与える予算であるにも拘わらず、事務局は説明を行っていません。教育委員会は、独立した執行機関であるはずなのに、教育委員会(狭義)の意思決定が及ばないところで、教育に関する事柄(授業で学校プールを使用しない等)が、予算を通じて決められているのです。


 予算の調製権、予算案提出権、執行権は市長の専権ですが、教育に関する事務については、首長から独立した教育委員会が責任を負っています。執行機関である首長が、別の執行機関である教育委員会の権限を侵害していると言えるのではないでしょうか。





1.(3)学校プール廃止が編成された平成31年度大阪府泉南市一般会計予算の審議時に、全ての議員に対して学校プール廃止について資料を提示し、説明をしていない。


 3月の教育委員会定例会の次の日、2019年3月26日平成31年第1回定例会議案19号「平成31年度大阪府泉南市一般会計予算」が賛成多数で原案可決され、予算の中に入っていた学校プール廃止(2019年度は3校のプールのみ授業事業で使用)が決定しました。「平成31年度 大阪府泉南市予算書及び予算説明書」PDFファイルとともに 予算審議時に議員に提示された「平成31年度泉南市予算のあらまし」PDFファイルの 4 歳出予算・目的別(一般会計)の「教育費」には以下の通り書かれています。当該箇所を転記します。


■ 教育費 

 学校教育のほか、生涯学習等の教育全般にわたる事務又は事業に要する教育費 は、23 億 6,068 万 3 千円の計上としました。学校プール一般開放事業が皆減とな ったものの、中学校老朽化対策事業や私立幼稚園支援事業の増額などにより、前 年度と比較して約 4 億 4,000 万円(22.9%)の増額です。 

 学校プール一般開放事業が廃止になって事業費が0になったことは書かれていますが、学校プール授業事業の変更は何も書かれていません。私たちは、予算審議時に学校プール廃止について、議員に対して充分な説明を行ったのかを確認するために、教育委員会に対して以下の質問をしました。(学校プールに関する教育委員会とのやりとり 質問 → 回答 → 再質問 → 再回答はこちら)


(質問)泉南市において、「様々な資料を議会に提出した」とあるが何を提出したのか一覧にして欲しい。(市民の財産である公共施設の廃止検討時は固定資産台帳の提出が必要と考える。議員に対して固定資産台帳や老朽化度調査結果は提出したのか?)


 回答の資料一覧は議員個人に提出された資料のようだったので、再度質問しました。再質問と再回答は以下の通りでした。


(再質問)請求を受けて提出した資料について 提出先は議員個人か?

(再回答)泉南市議会基本条例第9条第4項に基づく市議会議員からの資料請求により資料を提出している。


 回答の資料一覧の提出日が全て予算成立後の5月以降だったこと、また再回答に、「泉南市議会基本条例第9条に基づく」とあったことから、同条例の第11条に基づく予算及び決算の審議に当たって「議会」への資料提出はなかったものと解釈します。


 次に、予算審議時に示した資料がないか再度確認するために3月議会で示した資料を質問しました。


(再質問) 請求を受けて提出した資料について 提出時期がR1.5月以降になっているが、H30.9.4台風以降H31.3月議会で示した資料はないのか?


(再回答)プールに関して、資料請求以外に市議会等へ説明を行った際に示した資料は、下記の通り。 (註:以下、色をつけていますが、文章は原文ママ)


平成31年第1回定例会厚生文教常任委員会の報告事項として「市立学校プールの在り方」について説明を行い、資料を提示済み。

 平成31年第2回市議会厚生文教常任委員会の報告事項として「学校園プール授業について」説明を行い、資料を提示済み。(註:令和元年6月1日開催だったのに平成表記)

 平成31年第4回定例会厚生文教常任委員会の報告事項として「令和2年度水泳授業について」説明を行い、資料を提示済み。(註:令和元年11月29日開催だったのに平成・年度表記)


 3月の予算審議に関係するのは、2019(H31)年3月13日の(第1回)厚生文教常任委員会と思われます。しかし、同委員会の会議録を見ても説明箇所が見当たりません。議員のツイッターやブログを調べた結果、2019年3月4日の厚生文教常任委員協議会において、「市立学校プールの在り方」の説明を行なっていたことがわかりました。教育委員会の再回答には厚生文教常任委員会とありますが、これは会議名ではなく委員会名で、説明を行った会議名は厚生文教常任委員協議会です。常任委員会は、泉南市議会委員会条例で定められた、本会議から付託を受けた議案や請願について審査する議会の内部機関です。しかし、協議会に関する例規が見つからず、議会事務局に問い合わせました。協議会というのは、常任委員会に付属していて、常任委員会を行う前の段階で説明のために集まっている会議だそうです。法で定められた会議ではなく、議事録も残していないとのことでした。

 また、以下の市議会会議録からも厚生文教常任委員協議会でプールの説明があったことがわかります。 


泉南市議会会議録2019.3.6 平成31年第1回定例会(第1号)本文より引用開始


87 ○8番(古谷公俊君)
 市民のスポーツの参加の機運を高めていくという中で、先日、厚生文教常任委員協議会のほうでお話が出たんですけれども、小学校のプールの件なんですけれども、これが屋外プールが将来的には、今期2校ですか、信達とどこだったかな、ちょっと私も記載漏れだったんですけれども、2校が屋外プールをやる中で、次は再来年度はもう全部屋外プールをしないというような話を聞きました。 


引用終了

  つまり、教育委員会は、「市立学校プールのありかた」という資料のみを2019年3月4日の厚生文教常任委員協議会で報告事項として説明しただけです。しかも、この資料「市立学校プールのありかた」の内容は教育委員会(狭義)で審議していません。誰がいつ作成したのか不明の資料の説明を厚生文教常任委員協議会で行なっているのです。(註:「市立学校プールのありかた」期せずして情報公開されました。私が公開して欲しかった文書は別のものだったのですが。)

 2019年3月13日の第1回厚生文教常任委員会では審議案件ではないので、学校プールのことは審議されていません。

 第1回定例会でも厚生文教常任委員会からあがってきた審議案件にないので、厚生文教常任委員協議会に出席していた議員が、代表質問や一般質問で少し取り上げた程度です。


 2019年度予算審査特別委員会では議員個人にも議会にも資料提供がなかったので、厚生文教常任委員協議会に出席していない議員はプールに関して質問をしていません。厚生文教常任委員協議会に出席していない議員は「平成31年度泉南市予算のあらまし」PDFファイルの内容しか知らなかったのではないかと思われます。


 「平成31年度大阪府泉南市一般会計予算」PDFファイルは原案通り可決成立しましたが、その後の議会で議員から度々学校プールに関する質疑がありました。これは、学校プール廃止に関する説明を理事者側が果たしていないと市議会議員も考えていることの表れだと思います。後ほど詳しく述べますが、学校プール廃止は「泉南市公共施設等最適化推進実施計画」PDFファイルの対象施設なので、行財政問題対策特別委員会で審査すべき案件ではないでしょうか。予算成立以前に厚生文教常任委員協議会に提出された資料「市立学校プールのありかた」には、「泉南市公共施設等最適化推進実施計画」PDFファイルに基づく、担当課が議会・市民に報告すべき財務諸表・固定資産台帳・劣化度等、廃止の可否を検討する資料は一切記載されていません。


  理事者側は、市議会に対しても説明責任を果たしているとは思えません。


1.(4)竹中勇人市長答弁 「去年の秋からの検討」を裏付ける文書を情報公開請求したが、公開請求内容(件名)が改変され、請求したものとは違う文書が公開された。


 教育委員会定例会会議録や同会議で使用された資料、泉南市議会会議録から、学校プールの廃止をいつ、誰が、どういう経緯で決定したのかを調べてきましたが、全くわかりません。 


 決定時期等を確認するため、市議会会議録 2019年6月7日令和元年第2回定例会(第3号)の88番 竹中勇人市長答弁 「去年の秋からの検討」を裏付ける文書を情報公開請求しました。


 泉南市情報公開請求書の(1)件名に「市長の市議会答弁(別紙参照)にある「温水プールを使っての授業」を去年(註:2018年)秋から検討したことがわかるすべての文書(会議録、メモ等)を出してください。」と書いて請求したのですが、泉南市情報公開決定通知書に記載された(1)件名(公開された文書の内容)は「温水プールを使っての授業の検討資料」に改変されていました。公開された資料は、3月の厚生文教常任委員協議会で提示した「市立学校プールのありかた」と5月の同協議会で提示した「学校園の水泳授業施設の在り方の見直しについて」他で、いつ検討したのかわかる資料ではありませんでした。情報公開される前に、メールでも担当者に請求内容を確認しており、なぜ請求した文書と別の文書を公開したのか理解できません。註:6月4日付で情報公開審査請求しました。情報公開審査請求を出すのも大変でした)

 いつ、誰が、どういう経緯で決定したのかは不明のままです。以下はその 竹中勇人市長 答弁です。 

2019年6月7日令和元年第2回定例会(第3号)より引用開始


 今回は、それはFMの計画としては、そういう位置づけではございますけれども、昨年の猛暑、それからその後の台風での被害、そういうのもありまして、本年度のプールの使用が、あの猛暑によって、子どもたちに対する熱中症のおそれがあるということもありまして、急遽温水プールを使っての授業はできないかということの検討をさせていただきました。

 そういう去年の秋からの検討ということになったこともありまして、市民の皆さんへの決定してからの説明の時間が足りなかったということでございまして、それにつきましては、5月に市民の保護者の皆さんに学校を通じて、その辺の文書を送付させていただきました。


引用終了


 「いつ、どこで、誰が学校プール廃止を決定したのか」を調べていくと、教育委員会の機能不全が目につきます。次項で詳しく述べますが、本来ならば、学校プール廃止を検討するための審議を教育委員会(狭義)で行い、方向性を決めたのちに予算案策定を行わなければならないはずです。しかし、審議も行わず、まるで教育委員会委員の目を盗むかのようにして予算案策定を行なっているように見えます。議会において、理事者側は、市議会議員に対しても必要な説明を行っておらず、学校プール廃止を決めたのは教育委員会(狭義)だと答弁しています。市民が情報公開請求をすれば、公開請求内容を改変し、請求した文書を公開しません。「いつ、どこで、誰が学校プール廃止を決定したのか」とともに、市長、教育長に問います。


教育委員会委員、議員、市民の目を欺かなけばならないような理由があるのですか。学校プール廃止は、誰のための施策なのですか。


 教育に関する事柄(授業で学校プールを使用しない等)が、教育委員会(狭義)とは別のところで、予算を通じて決められているのは、教育委員会の権限を侵害しています。 執行機関である首長が、別の執行機関である教育委員会の権限を侵害し、教育委員会制度の特性である「首長からの独立性」が脅かされていると言えるのではないでしょうか。 

 そして「いつ、どこで、誰が学校プール廃止を決定したのか」が明らかでないということは、市民、市民の代表である議員の目の届かないところで税金の使い道が勝手に決められているということになり、問題です。予算案を議会に提出できるのは 竹中勇人 市長だけです。市長の責任を強く問います。





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報告書現在地 → 1

学校プール廃止についての報告書 2



2.学校プール廃止が教育委員会(定例会)で審議されなかったのは、「地方教育行政の組織及び運営に関する法律違反






 「地方教育行政の組織及び運営に関する法律」第二十一条には教育委員会の職務権限が定められています。その中でも今回の学校プール廃止に関するものを以下に記します。


第二十一条 教育委員会は、当該地方公共団体が処理する教育に関する事務で、次に掲げるものを管理し、及び執行する。


五 教育委員会の所管に属する学校の組織編制、教育課程、学習指導、生徒指導及び職業指導に関すること。


七 校舎その他の施設及び教具その他の設備の整備に関すること。


十三 スポーツに関すること。


 また泉南市ウェブサイト>教育委員会ポータルサイト>教育委員会には以下のように記されています。

https://www.city.sennan.lg.jp/kakuka/kyouiku/kyouiku_soumu/1596416378075.html



引用開始


教育委員会は、「地方教育行政の組織及び運営に関する法律」の定めるところにより、教育の中立性を確保し、公正な民意により、地方の実績に即した教育行政を行うために設けられた合議制の執行機関です。

学校及びその他の教育機関を管理し、学校の組織編制、教育課程、教科書その他の教材の取扱い及び教職員の身分取扱いに関する事務並びに生涯学習、文化財の保護などに関する事務を管理執行しています。


引用終了


 学校プール廃止の決定は「地方教育行政の組織及び運営に関する法律」で定められた、教育課程、学習指導、校舎その他の施設の整備、スポーツに関する教育委員会の職務権限に含まれます。廃止決定を教育委員会(定例会)で審議していないということは、教育委員会の職務権限が侵害されているということです。 また、同法17条には「教育の権限に属する事務を処理させるために事務局を置く」と事務局の役割がありますが、適正に機能しているとは思えません。 以下、詳しく述べます。



2.(1)「地方教育行政の組織及び運営に関する法律」第二十一条 五 教育委員会の所管に属する学校の組織編制、教育課程、学習指導、生徒指導及び職業指導に関することが教育委員会(定例会)で審議されず、「公正な民意による、地方の実績に即した教育行政」を行っていない


 教育課程とは、学校教育の目的や目標を達成するために教育の内容を児童生徒の心身の発達に応じ、授業時数との関連において総合的に組織した学校の教育計画です。 2019年度の水泳授業は3校のプールのみ授業事業で使用し、その3校のプールを使用しない学校についてはサンエス温水プールを2コースのみ使用することになりました。サンエス温水プールまでの移動時間が必要になるため、サンエス温水プールを使用する児童はもちろん、学校プールを使用する児童も、 授業時数が減らされています。これは教育課程の変更に当たります。以下、市議会会議録の授業時数等に関する箇所です。


泉南市議会会議録 平成31年度予算審査特別委員会(第2号)本文より引用開始


◯岩崎学務課長

 もう1点、サンエスプールの学校水泳の授業支援事業、366ページの、3小学校以外の残りの7校は、どのような計画で進まれるのかという御質問がございましたことにつきましては、来年度大体6月から11月の期間で、子どもたちお一人当たり3回、3日間入水するという、サンエスを活用するという方法で、学校水泳の計画を進めているところでございます。


引用終了



泉南市議会会議録 2019.6.14令和元年厚生文教常任委員会 本文より引用開始


◯和気委員

 学校プールをなくされた子どもたちは、バスに乗って今阪南市と泉南市の境界にあるサンエスプールに行くわけですけれども、今まで10こまあったプール授業は移動時間を要するため、6こまに減らされています。

 学校プールでは、全コースを使って伸び伸びと泳いだり遊ぶことができました。ところがサンエス温水プールでは、一般利用者と共用のため、子どもが使えるのは2コースだけ、子どもを狭いところに押し込んで、楽しみながら水泳が上達できるのでしょうか。また、一般利用者も2コース分減らされて苦情が出ているというふうに聞いております。


引用終了


 学習指導とは、教科外領域における生活指導に対し、学校における各教科の学習の指導の総称です。サンエス温水プールの2コースのみを使用して行われること、専門的指導技術を持ったスイミングスクールのインストラクターの指導を受けることは学習指導の変更に当たります。


以下、① 学習指導等について記載のある会議録

   ② 提出された資料

   ③ ①と②の記載内容を比較した表を、順次載せています。




○岡田教育部長

市立学校における今後のプールのあり方についてですが、これにつきましては、これまでもいろいろご意見を賜っているところでございますが、このような形でかなり厳しい考え方をしてございます。黒丸ですが、台風21号の被害等により学校プールでは稼動できないプールがございます。かなりの修繕を要するプール、あるいは修繕に要する経費の見積もりがまだままならないというような状態があるところでございます。

 つきましては、これまで高い評価をいただいているところですが、学校プール一般開放事業については、開催の見通しが立ちません。この夏は中止とせざるを得ないと考えております。当然、夏休みの子どもの居場所づくり事業については別途計画を進めておるところでございます。

 同時に学校の通常授業としてとり行うプールの授業につきましても、やはり学校プールの利用自体がまだ目処が立たないこともありますので、民間の事業者が運営するプールの利用を検討しております。具体的には男里にありますサンエス温水プール、それから新家のマコトスイミングスクールなどの利用を検討しております。各プールにバスを準備して授業を行っていくということを考えております。

 今のところ何とか使えそうなプールが西信達中学校プール、信達小学校プール、砂川小学校プールの3施設となっております。したがって、これまでどおり授業で使用できるのが、西信達の小・中学校、信達の小・中学校及び砂川小学校、加えて泉南中学校には鳴滝プールで、授業をしておりますが、泉南中学校においては、第二阪和を超えたところにある信達小学校のプールに歩いて行けますので、そちらを使っていただこうと考えております。

 それ以外の学校については、先ほど申し上げた民間事業者のプールにバスを仕立てて移動するイメージで、今学校との意見交換をさせていただいているところです

 学校からも学校プールの一般開放の中止や学校プールを授業で利用できないのは残念だという声もございますが、我々としましては民間のプールを使うことで専門家の水泳指導による質の向上安全管理面での向上、それから、やはり水泳指導に不慣れな若い先生も増えておりますので、そういった教員の方の負担軽減といったメリットを外部のプールを使うことで見出していきたいと考えております。

 あと、学校のプールの施設設備は老朽化が進んできております。このたび修理ができない状態があり、修繕等の見通しが立たないということもございますが、今後の維持、改修コスト等を考えますと、平成31年度は先ほど申し上げた3カ所の学校プールは使用できますが、近い将来、全てのプールを閉鎖せざるを得ないと考えておるところでございます。

 この20年間で全国の公立学校の25%程度が学校プールを廃止するというような報告で進んできているということもありますので、恐らくそう言った形で学校プールについては全面的に外部プールを利用する時期に移っていくというふうに考えているところでございます。

(略)


○片木教育長職務代理者

 それでは、ただいまの報告に対しご質問・ご意見等はございませんでしょうか。

 来年度の学校プールですが、3カ所稼働するということで、再来年から3カ所になるということではないんですか。一応今後の方向性を示されたということですか。学校プールが使用できなくなるのは、修繕等の関係で来年度はやむを得ないとしても、今後学校プールを廃止していくというのは、今後の方向性ということですか。


○岡田教育部長

 はい、そうです。学校プールにつきましては、来年度、先ほど申し上げた3カ所の学校プールを稼働できても、再来年度以降は、修繕等の見通しが立たないかもしれないというところがございますので、かなりの確率で全ての学校プールが稼働できない可能性もあるのではないかと考えております。

 あと、民間のプールを利用する方がよりいいという結果となれば、民間のプールを利用する方向に切りかえると判断したいと思います。

引用終了


以下は泉南市教育委員会平成31年第1回定例会(2019年1月22日開催)で提出された資料「○市立学校における今後のプールのあり方について」より当該部分のみ複写したものです。


②市立学校における今後のプールのあり方について


泉南市教育委員会平成31年第1回定例会(2019年1月22日開催)資料


以下は、2019年3月4日厚生文教常任委員協議会で提出された資料「市立学校プールのありかた」を複写したものです。 ②市立学校プールのありかた


老朽化、修繕費、正確なことが書かれていない

授業についても他市を参考にしていて、泉南市のこどもたちへの影響を検討していない

以下は、2019年1月の教育委員会会議録、同会議配布資料、20193月4日厚生文教常任委員協議会配布資料の記載内容を比較した表です。 ③



2019年1月教育委員会会議録とその資料、2019年3月厚生文教常任委員協議会の資料

子どもへの影響等記載なし



 会議録や、資料で示した通り、教育課程と学習指導の変更が行われました。しかし、教育委員会定例会では、この教育課程、学習指導の変更についての審議はありませんでした。さらに驚くべきことに、教育課程、学習指導を変更したという事実を、教育委員会委員が知ったのは、 2019年6月24日です。上の表の2019年1月22日の教育委員会定例会会議録と配布資料の部分を見てください。「検討中」や「考えております」となっていて、教育課程、学習指導の変更について、1月22日時点では何も決まっていないことがわかります。この後、 泉南市教育委員会令和元年第6回定例会「教育長報告」まで教育委員会委員には報告さえもありませんでした。


 泉南市教育員会がウェブサイトで掲げるように、教育委員会は「地方の実績に即した教育行政を行うために設けられた合議制の執行機関」でありながら、学校プール廃止に関わる教育課程、学習指導の変更については合議どころか報告さえされておらず、教育委員会委員が教育課程、学習指導の変更を知ったのは、学校プール廃止が決定した2019年3月議会よりもさらに後、保護者説明会の後だったのです。



2.(2)「地方教育行政の組織及び運営に関する法律」第二十一条 七 校舎その他の施設及び教具その他の設備の整備に関することが教育委員会(定例会)で審議されず、教育委員会は「公正な民意による、地方の実績に即した教育行政」を行っていない

 学校施設の管理、維持管理、保全は、市長の所管ですが、同法により市長は教育委員会の意見を聞く必要があります。今回の学校プールの廃止は教育課程、学習指導に大きく関わる事柄なので、なおのこと教育委員会委員の意見を聞く必要がありましたが、教育委員会事務局は学校プールの現状を教育委員会委員に説明し、意見を求めることをしませんでした。


 施設としての学校プールの現状を見てみます。教育委員会が提示した2019年3月4日の厚生文教常任委員協議会の資料「市立学校プールのありかた」(p.15 p.16)には、老朽化、修繕費・水光熱費の漸増、過去の防風被害状況を示すもの、資産状況を示す固定資産台帳などのプールを廃止するにあたって妥当性を示す詳細な情報が一切記載されておらず、泉南市の学校プールの現状を正しく報告したものではありません。私たちが調べた学校プールの「 a 老朽化」「 b 修繕費」について結果を述べます。



 a)教育委員会定例会や市議会において、教育委員会は、プール廃止の理由に老朽化をあげていたが、行革・財産活用室が作成した「各小学校の劣化度調査の結果」を見ても学校プールは校舎などの他の建物に比べて劣化していない。



 2019年3月6日泉南市議会平成31年度第1回定例会で市長が「(前略)特に最近は築30年を超えるようなプールが増えてきておりまして」と答弁し、2019年6月5日同定例会で、岡田教育部長も「本市の10か所あるプールにおきましては、(略)最も新しいもので築27年ぐらいということで、30年近いという状況でございます。最も古いもので四十数年ということで、平均して30年という状況です」と答弁しています。また、泉南市教育委員会令和元年第6回定例会会議録 p.11右側下から二行目の阪上教育部次長兼人権教育課長の発言に「プールの耐用年数は30年となっており」とあります。30年を超えているプールは老朽化していて、使えないと言わんばかりですが本当にそうでしょうか。 


 私たちは 教育委員会に対して以下の質問をしました。(質問と回答の一覧を末尾に載せています)


(質問)減価償却を待たずに「除却」の方向へ進んでいるが、資産の位置づけをどう考えているのか?
(回答)
・財務省「減価償却資産の耐用年数等に関する省令(昭和40年大蔵省令第15号)」によると水泳プールの耐用年数は「30年」と規定されており、本市は殆どのプール施設が耐用年数を超えているため、資産の減価償却は済んでいると考える。

 しかし実際に固定資産台帳を情報公開請求したところ、新家小学校のプールを除き、減価償却は終わっておらず、資産として残っていました。(私たちが作成した添付資料「プール減価償却残高&劣化度評価」に記載しています。)資産として残っているということは、財務省の省令に則って減価償却していないということではないでしょうか。会計監査上の耐用年数を適用していると考えられます。泉南市では学校プールの耐用年数を固定資産台帳では、会計監査上の耐用年数を適用し、老朽化をはかる指標としては、財務省の省令による耐用年数を適用するのでしょうか。


 そして、老朽化度は各プール個別に行うものです。岡田教育部長の言うように「平均して」出すものではありません。国は、2013年に「インフラ長寿命化基本計画」を取りまとめました。同計画を受けて文科省は「学校施設の長寿命化計画策定に係る手引き」を取りまとめました。


 その文科省の「学校施設の長寿命化計画策定の手引と解説書」では、学校施設の老朽化状況の実態を把握するために、p.20「改修方法等の検討に必要な劣化状況等の実態として、構造躯体の健全性の評価を行うとともに、構造躯体以外の劣化状況等の評価項目を地域の実情に応じて決定した上で評価を行い、現状と課題を整理する」とあります。また、「目標使用年数の設定」p.26には、「鉄筋コンクリート造の学校施設の法定耐用年数は,47年となっているが,これは税務上,減価償却費を算定するためのものである。物理的な耐用年数はこれより長く,適切な維持管理がなされ,コンクリート及び鉄筋の強度が確保される場合には70~80年程度,さらに,技術的には100年以上持たせるような長寿命化も可能である。これを踏まえ,『(3)2学校施設の老朽化状況の実態』における構造躯体の健全性の評価結果等に基づき,学校施設の目標使用年数を設定する。」とあります。 


 実際に老朽化をチェック、報告もせず、財務省「減価償却資産の耐用年数に関する省令」の耐用年数の30年をもって老朽化したとは言えません。



 市議会会議録で竹中勇人市長がプール廃止の理由に老朽化をあげている箇所を以下に記します。


引用開始

 非常に老朽化が進んできた。この中でその老朽化したプールを維持していくのは非常に難しいということで、今回こういうプールの授業を別のところですることを考えたわけでございます。93番 ○市長 竹中勇人君

引用終了


 では、行革・財産活用室が作成した、公共施設の劣化等の状況を把握するための「各小学校の劣化度調査の結果」(2021年2月5日入手)を見てみます。(「泉南市公共施設等最適化推進実施計画」のp.40「施設及びインフラの維持管理保全策」に基づく)


 以下の表の建物評価とは、数字が大きいほど劣化が進んでいることを表します。

偏差値とは、泉南市の公共施設全体の中で、その建物がどのくらい劣化が進んでいるかがわかるように算出した数値です。50を平均値として、50よりも大きければ平均より劣化が進んでいない(新しい)ことを表し、50より小さければ平均より劣化が進んでいることを表します。

偏差値表示マークは、55以上:◎     45以上55未満:◯     45未満:△ を表します。

行革・財産活用室作成の「各小学校の劣化度調査結果」からプール棟の値のみ表にしました。


老朽化していないプール、減価償却が残っている泉南市民の財産を潰した泉南市長の責任は?

 記載のない鳴滝小を除いて偏差値が59.6~64.8となっており、プールは校舎などの他の建物よりも新しく、劣化が進んでいないことがわかります。


 私たちも「泉南市公共施設等最適化推進実施計画」(PDFファイル)p.35にある学校プール施設の実態として示されていた2014年度を起点として、2018年までの学校プールの修理箇所の情報公開請求を行いました。その修理箇所の資料と、行革・財産活用室の「施設、設備の劣化度判断基準表」を基に、修理箇所数によりA~D評価をし、A判定は点数が1点、B判定は2点、C判定は3点、D判定は4点と、4点満点で点数化することで 独自に劣化度評価を作成しました。点数が大きい方が劣化が進んでいることを示していて、「各小学校の劣化度調査結果」と合致するものとなっています。(私たちが作成した「プール減価償却残高&劣化度評価」はこちら



b) 市議会において竹中勇人市長は、プール廃止の理由に修繕費の急増をあげていたが、2014年度以降、修繕費は急増していない。


 市議会会議録では竹中勇人市長がプール廃止の理由に修繕費等の急増をあげています。 


 学校プールは、施設の修繕など維持管理経費や光熱水費、運営経費とかの負担が非常に大きくなってきまして、特に最近は築30年を超えるようなプールがふえてきておりまして、その辺の修繕費等も急増しておる状況でございまして、(89 ○市長 竹中勇人君)


 私たちが作成した「プール減価償却残高&劣化度評価」に、修繕費の合計も記載しています。「泉南市公共施設等最適化推進実施計画」(PDFファイル)p.35にある学校プール施設の実態として示されていた2014年度を起点として2018年までの学校プールの修繕費を載せています。


2014年以降の設備に要するプール全体の修繕費 

2014(H26)年度修繕費 5,336,005円

2015(H27)年度修繕費 4,321,058円

2016(H28)年度修繕費 2,266,300円

2017(H29)年度修繕費 4,766,943円

2018(H30)年度修繕費 4,489,063円



泉南市の学校プールの修繕費が増えていると言うのも事実ではない













  2014年~2018年の学校プール修繕費は急増していません。


 では、学校プールの「老朽化」「修繕費」について、教育委員会提示の「市立学校プールのありかた」(p.15 p.16)が泉南市の学校プールの現状を表していないのはなぜでしょうか。

 「老朽化」については、学校プールの耐用年数を財務省の「減価償却資産の耐用年数等に関する省令」で規定された30年とすることで減価償却済みとして、劣化度調査をしていないことにあります。「小学校の劣化度調査の結果」(行革・財産活用室)を私たちが得たのは、2021年2月5日です。その後の2月10日の時点で、教育委員会は私たちの質問に対して『現在鋭意作用中の「(仮称)泉南市個別施策計画」に掲載する予定』と回答してきました。以下、当該質問と再回答です。(質問と回答一覧はこちら


(2)泉南市において、様々な資料を議会に提出したとあるが何を提出したのか一覧にして欲しい。(市民の財産である公共施設の廃止検討時は固定資産台帳の提出が必要と考える。議員に対して固定資産台帳や老朽化度調査結果は提出したのか?)


(再質問)請求を受けて提出した資料について

6.老朽化度、固定資産台帳は示していないのか?


(再回答)劣化度調査結果については、現在鋭意作業中の「(仮称)泉南市個別施設計画」に掲載する予定。固定資産台帳は、泉南市Webサイト中「ホーム>各課のご案内>行革・財産活用室>固定資産台帳について」にて公表済み(行革財産活用室)


つまり、2021年2月5日に私たちが得た「小学校の劣化度調査の結果」が作られるまで、劣化度調査は行われていなかったため、2019年3月4日に教育委員会が提示した「市立学校プールのありかた」は泉南市の学校プールの現状を表していないのです。

 「修繕費」についても同様です。「泉南市公共施設等最適化推進実施計」p.35の、「ウ.学校プール施設」の項に2014年度「学校別コスト一覧」の掲載があります。この表のその後の経年データを教育委員会に求めましたが、「計画時にしか作ってない」との返答で入手できませんでした。 私たちが、情報公開請求で「学校プール施設の修繕等に関する資料」を請求し、計算しなければ、修繕費の推移がわかる資料は泉南市に存在しなかったのです。


 教育委員会が提示した「市立学校プールのありかた」(p.15 p.16)の、「1)学校プールの現状についての考え方」は、泉南市の学校プールの現状が正しく記されていませんでした。では「2)学校プール授業について」はどうでしょうか。私たちは 2019年1月22日に開催された教育委員会定例会会議録にある、岡田教育部長のこの20年間で全国の公立学校の25%程度が学校プールを廃止する」という発言から、他市の学校プールについても調べました。例えば、千葉県佐倉市のニュース記事を見てください。



日経BP 新・公民連携最前線 PPPまちづくり

小学校の授業で民間プールを利用、佐倉市の公民連携FM ファシリティの「見せる化」で周囲を説得 赤坂 麻実=ライター 2016.03.25

https://project.nikkeibp.co.jp/atclppp/15/434167/032200026/

一部引用開始----


 学校のプールを撤廃して、水泳の授業を市内のスイミングスクールで行う――。こんなユニークな公民連携の取り組みを実施しているのは、千葉県佐倉市だ。

 学校の教師に加え、スクールのインストラクターも水泳の指導に当たるため、泳力がついたと児童や保護者に好評だという。保護者からは予定が天候に左右されないことや盗撮などの心配がないこと、学校関係者からは安全管理面での教員の負担が軽減されること、水温や水質、衛生管理などの面で安定した環境で授業ができることから、ぞれぞれ満足度も高い。

(中略)

 スイミングスクールと学校との間は、スクールが所有するバスで教師3~4人と児童約100人が移動する。移動時間を考慮して、従来2コマ×5回だった授業を、2.5コマ×4回に変更する必要があったが、市の教育委員会もカリキュラム変更を承認。

 一部引用終了----


 引用部分の下線を引いた箇所が泉南市教育委員会が厚生文教常任委員協議会で提示した「市立学校プールのありかた」の「2)学校プール授業について」に酷似しています。


教育委員会が厚生文教常任委員協議会で提示した「市立学校プールのありかた」p.15 p.16より転記します。


2)学校プール授業について

 民間プールを活用することとする

①複数校が共用施設として屋内プールを活用することで、気温や天候に左右されることなく年間スケジュールに沿って水泳指導が実施できる。

②専門的指導技術を持ったインストラクターの指導を受けることにより、子供達にとって効果的に水泳技能の上達が期待できる。

③水泳授業期間中、毎日行うプール指導の準備や水質管理等について、教職員が行う負担が大幅に減少する。


転記終了


 日経BP 新・公民連携最前線 PPPまちづくりから引用した箇所以外には、佐倉市の資産管理経営室が節電の調査を行い、学校プールの消費電力量に着目したことなどが書かれています。佐倉市では、FM(ファシリティマネジメント)の一環として行われた事業としています。当然のことですが、佐倉市の教育委員会は、カリキュラム(教育課程)変更を承認しているとしています。

 佐倉市を参考にしたのかどうかはわかりませんが、泉南市教育委員会が「学校プール授業について」他市を参考にするということは十分考えられます。しかし、他市の事例を泉南市にそのまま当てはめることはできません。他市と泉南市では異なる部分があるからです。サンエス温水プールでの授業は2コースしか使えません。水深が深いのでプールの底に台を並べて置かなければなりません。10校の児童生徒の授業をサンエス温水プール一つで行うためには冬でも水泳授業を実施しなければなりません。他市の施策を泉南市に取り入れるためには、当市において必要な調査をし、実情に即した計画を法に則って実施する必要があります。そうでなければ、しわ寄せは子どもたちにいきます。泉南市教育大綱には「皆で育む『大いなる希望』」と子どもたちを泉南市の希望と謳っていますが、子どもたちを大切にしているようには全く見えません。





2.(3)「地方教育行政の組織及び運営に関する法律」第二十一条 十三 スポーツに関することが教育委員会(定例会)で審議され 教育委員会は「公正な民意による、地方の実績に即した教育行政」を行っていない


 泉南市には市民プールがありません。学校プール一般開放事業は市民も利用できるプールでした。その学校プールを廃止することは、スポーツ基本法で定められた権利「スポーツは、これを通じて幸福で豊かな生活を営むことが人々の権利である」の侵害です。廃止にあたっては、教育委員会(定例会)で市民に対する影響も検討する必要がありました。



 ご存知とは思いますが、公務は法規に則って行わなければなりません。(法律による行政の原理) 「地方教育行政の組織及び運営に関する法律」に違反する行政活動で決定した学校プール廃止は無効となるのではありませんか。(法律の優位)法律を遵守せず、教育委員会(狭義)の権限を侵害している泉南市教育委員会は法による支配ではなく、人による支配で公務が行われているのでしょうか。誰による支配ですか。明らかにしてください。



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