市立学校プールのありかた


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泉南市教育委員会が2019年度予算に入れて通すために厚生文教常任協議会に出した唯一の資料 必見




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教育委員会定例会では審議せず、予算に入れるために厚生文教常任委員協議会にのみ出した資料

 

 この資料の初出は、2019.3.4の厚生文教常任委員協議会です。(私が請求した資料とは違うものですが )情報公開請求して出てきたものに厚生文教常任委員協議会資料と書かれてました。

情報公開請求資料 泉南教総第110号 令和3年5月28日 

温水プールを使っての授業の検討資料

 この「市立学校プールのありかた」は学校プール廃止について詳しく?書かれた唯一の資料です。狭義の教育委員会で審議していないので、(詳しくは報告書にまとめてあります)厚生文教常任委員協議会で出された資料の方が詳しいのです。(←どう考えてもおかしい)何が書かれていて、何が書かれていないのかを見てみましょう。


1)学校プールの現状についての考え方
 ①コストについて

 教育について、まずコストを取り上げていることに驚きます。この資料には、児童、生徒についての言及がありません。一般的に、授業の内容(学習指導)を変更する場合、現状に問題があったり、現状よりさらに良い内容を目指して変更しますよね。しかし、この学校プール廃止は、子どもたちの授業内容よりも別の問題意識?(金!金!金!)から変更を考えているので児童、生徒についての言及がないのだと思います。そして、サンエス温水プールに変更することで児童、生徒にどういう影響があるかを検討した形跡もありません。(詳しくは報告書にまとめてあります)

 最初にコストについて言及しているので、コストの問題から変更を考えているのかと思いきや、コストに関してもプールの現状について劣化度を調査したり、修繕費を計算していません。情報公開請求を出した後(2020.10.9)の教育委員会担当者とのやりとり(メモ)」に書いてありますが、老朽化度チェック表はプールに関してはないということでしたし、授業実施前点検表も該当する書類がないとのことでした。私たちは独自に老朽化と修繕費について調べました。その結果、学校プールは老朽化していませんでしたし、修繕費も増えていませんでした。

修繕費は増えていないし、劣化もしていない 学校プール 

 

行革・財産活用室が出した劣化度調査でもプール棟は劣化していません。 

劣化度調査(行革・財産活用室) 各学校プールの結果


「すべてのプールが老朽化しているため」というのは嘘です。例えば、砂川小学校や鳴滝小学校のプールは改修しているので減価償却の期末簿価が高くなっています。改修によって耐用年数が長くなっているのです。


コストと言いながら現状を把握していません。暑さ対策にお金がかかると岡田教育部長が市議会で答弁しているので、質問しましたが、教育委員会の回答は以下の通りでした。

・「妥当」と判断する客観的な基準はないため、回答不能。

 

 そして、児童生徒数が減るので「費用対効果は低減」と書かれています。生徒児童がどれくらいの減少率なのか、詳しく書いていないので分かりませんが、それならば、古くて使えなくなったプールから使わないようにして、比較的新しいプールを複数の学校の児童生徒で共用することも考えられたはずです。

 ①コストについては現状を認識せずに書かれたものだと言わざるを得ません。



 ②安全対策について

・近年、増加する猛暑日に対し、暑さ指数を用いた対策を継続していく必要があるため、今後も一般開放日の中止が増加

 とありますが、暑さ指数についても、最初、担当者は泉南市では採用していないと言ってたのです。

管理日誌はお渡しできるが、暑さ指数は記載がない(環境省が言っている値で、泉南市では採用せず)


 2019年6月5日の泉南市議会 令和元年第2回定例会(第1号)では、古川聖登教育長

 環境省が発表する暑さ指数を基準として一般開放を実施、開催予定期間の半分を閉鎖。学校プール室内移行に伴い、学校プール停止の判断。温水プールは全校・園受け入れ不可にて対策を今後検討。

と発言しています。このことを指摘した後、暑さ指数について質問すると、

(質問)16. 学校プール一般開放事業の管理日誌には暑さ指数の記載がない。一般開放の休館は暑さ指数によるとしているが、どのように運用していたのか?委託業者との間に運用仕様書はあるのか?2018年より2017年の方が暑かった(暑さ指数が高い)が一般開放の休館は暑かった2017年の方が少なかった。どういう運用なのかわかりにくい。

参考:市議会議事録より抜粋

環境省が発表する暑さ指数を基準として一般開放を実施古川聖登 教育長2019.6.5)


(回答)

・環境省がWebサイトを通じて公表する「暑さ指数」を利用した運営基準は、平成30年(2018)年度のプール一般開放事業から適用。
・平成30年度は、環境省のWebサイトで示される「暑さ指数」について、原則として、当日午前11時時点で12時以降の指数が「31.0度以上」と予測されている場合は、教委事務局が当日のプール一般開放の中止を決定し、広報システムで市民へ広報するとともに受託事業者へ伝え閉鎖した。

・平成30年度は、環境省のWebサイトで示される「暑さ指数」について、原則として、当日午前11時時点で12時以降の指数が「31.0度以上」と予測されている場合は、教委事務局が当日のプール一般開放の中止を決定し、広報システムで市民へ広報するとともに受託事業者へ伝え閉鎖した。

・平成30年度は、環境省のWebサイトで示される「暑さ指数」について、原則として、当日午前11時時点で12時以降の指数が「31.0度以上」と予測されている場合は、教委事務局が当日のプール一般開放の中止を決定し、広報システムで市民へ広報するとともに受託事業者へ伝え閉鎖した。

との回答でした。

 やはり天候に関することも、具体的なデータを示す必要があります。市民から集めた税金を使っての事業なので、市民に対しての説明責任があります。 しかも教育に関わる事柄です。

 私たちは、プールの管理日誌を情報公開請求して、気温、水温を一覧にしました。当日の暑さ指数も調べて載せてあります。(2017年の方が暑い日が多い。)

2017年・2018年のプール授業と一般開放の気温、水温、暑さ指数


 その上で、暑さによって安全が脅かされていると考えるのなら、暑さ対策をすることで、公共サービスを維持する努力が必要なのではないでしょうか。暑くなったので、今ある公共サービスをやめます、と言うのでは税金を集めて暮らしを支える「公共サービス」の根幹を否定するものだと思います。

参考
外部のサイトに直接リンクを貼っていいものかよくわからないので、タイトルとURLだけ置いておきます。

JAPAN SPORT
https://www.jpnsport.go.jp/anzen/
平成30年度スポーツ庁委託事業 学校における体育活動での事故防止対策推進事業
学校屋外プールにおける熱中症対策
https://www.jpnsport.go.jp/anzen/Portals/0/anzen/anzen_school/H30nettyuusyouPoolPamphlet/h30nettyuusyou_pool.pdf


 次に

・昨年度の台風第21号・第24号の暴風雨被害を教訓として、利用者の安全確保を行うためこれまで以上に台風の前後で開放日の中止が増加

と書かれています。台風の暴風雨被害を教訓として、とありますが、海水温が上がって、台風の勢力が近年増しているのは実感できます。しかし、台風の上陸が多い年と少ない年がありますよね。日本付近の台風の進路というのは太平洋高気圧の勢力と位置に影響されます。(偏西風の蛇行具合も関係あるかな?)上陸したり、近くを通過しなければ、開放日は減らないと思うので、暴風雨被害を教訓(勢力が増しているから?)というのは、こじつけのように思います。2020年は台風上陸はありませんでした。気象庁台風の上陸数 


 また、暴風雨被害も実際にどのような被害があったのかよく分かりません。


②安全対策についてと書かれていますが、安全に公共サービスを提供しようと努力せずに、公共サービスをやめてしまうのは、対策ではありません。公共サービスは、企業活動と違って、利益が出ない(費用対効果が低減する)からやめる、と言うものではありません。



2)学校プール授業について

 これは他市の事例を参考?にして書かれたのだと思います。

日経BP 新・公民連携最前線 PPPまちづくり 小学校の授業で民間プールを利用、佐倉市の公民連携FM ファシリティの「見せる化」で周囲を 説得 赤坂 麻実=ライター 2016.03.25

https://project.nikkeibp.co.jp/atclppp/15/434167/032200026/


日経BP 新・公民連携最前線 PPPまちづくり 佐倉市が小・中学校32校の学校プールの再編検討、市民プールでの水泳授業も視野に調査を実施 黒田 隆明 2018.07.02

https://project.nikkeibp.co.jp/atclppp/PPP/news/070100792/


千葉日報 学校プール全廃へ調査 老朽化で“水泳”民間委託 本年度佐倉市 事業の可能性検証2018年7月6日 05:00 | 無料公開

https://www.chibanippo.co.jp/news/national/512640


佐倉市も、最初は1校だけで問題がないか、確かめていますよね。「市立学校プールのありかた」にある「2020年度には全学校プールを使用停止」は、本当に児童生徒への影響を考えていないし、確かめようともしていないと思います。


 では、「市立学校プールのありかた」に書かれていないこととはなんでしょうか。学校プールは泉南市が今後の公共施設のあり方を考えるために策定した「泉南市公共施設等最適化推進実施計画」(PDFファイル)対象施設です。市長も、




 FMの計画の、いわゆる猛暑への対策としての前倒しという位置づけで御理解いただけたらというふうに思います。
(88 ○市長 竹中勇人君



と発言しています。FM計画に基づくのならば「泉南市公共施設等最適化推進実施計画」p.63以降にある「3.推進体制」に記された内容の資料提供と説明が必要です。
 自らが定めた「泉南市公共施設等最適化推進実施計画」を実行する上で、提示が必要と定めた劣化調査の内容も固定資産台帳の内容も記載されていません。また、プール廃止が「泉南市公共施設等最適化推進実施計画」の前倒しであることも説明がありませんでした。


 狭義の教育委員会で審議もせずに、泉南市の学校プールの現状を調べもせず、安全対策と書きながら対策はせずにコスト重視で学校プールを廃止した泉南市は、公共サービスをどう考えているのでしょうか。「2)学校プール授業について」も、泉南市の実態を踏まえたものとは思えない他市の施策に酷似した内容が記されていました。この資料は何の目的で書かれたものでしょうか。泉南市の児童生徒、市民のための資料とは言えません。誰のための施策ですか?学校プール廃止は2019年度予算の可決成立で、決定しました。


竹中勇人泉南市長の責任を強く問います。




学校プール廃止についての報告書はこちら


 

学校プール目次

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 私たちが得た情報をこのサイトを通じて、市民の皆さんと共有し、泉南市について一緒に考えていけたらと思っています。順次、情報公開された資料や、まとめたもの、教育委員会とのやりとり等をこのサイトで公表します。泉南市は小中学校の統廃合(泉南市小中学校再編計画)を進めています。それをどう考えるのか、判断材料の1つにしていただけると嬉しいです。