学校プール廃止についての報告書 1

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いつ、どこで、誰が学校プール廃止を決定しのか不明

1.(1)学校プール廃止は、 2019年1月22日の「泉南市教育委員会平成31年第1回定例会」で決定したのではない。



 2019年12月6日の泉南市議会会議録 令和元年第4回定例会(第3号)本文に以下の質疑、答弁があり(註:当該箇所に下線)、学校プール廃止が平成31年1月の教育委員会の定例会で決定されたと答弁されています。 
◯13番(和気信子君)  (前略)また、今回の廃止の提案は、教育委員会から出されたというふうには思いますが、最終判断は誰がされたのでしょうか、お聞かせください。
◯議長(南 良徳君) 岡田教育部長。

◯教育部長(岡田直樹君)  (前略)また、2つ目のプール廃止等の関係でございます。学校プール施設の利用停止 については、まず市事務局側で検討を行い、そして平成31年1月の定例会において、被災以後のプールの安全確保が不十分であること、あるいは来期の一般開放事業の実施が困難 であること等、それから水泳授業については、一部温水プールへの移行を検討し、今後全面的に温水プールへ移行していくということ御説明し、学校プールを近い将来廃止してい く方向であるということについて御説明を行いまして、そこで了承を得て教育委員会で決定していただいたものでございます。 以上です。

◯議長(南 良徳君) 和気議員。
◯13番(和気信子君)  そうしますと、前のときは本当にお金、マイナス5%シーリングで、どこかを削らなあかんというたときに、御提案されても最終的には市長が判断できたということであるんですけれども、そうすれば今回もいろんなことがあっても、子どもたちにとって大事やというふうに思えば、市長がやっぱりこれは子どものために残したほうがいいんじゃないかということになれば、決まるかなというふうに、今回はそう思いましたので、そのことについてお聞きしたんです。もうそれはあくまでも権限は教育委員会のほうにあったということなんですね。その辺をちょっとお答えください。
◯議長(南 良徳君) 岡田教育部長。
◯教育部長(岡田直樹君) 今回、学校プールで水泳授業をしないこと、プール自体を使っていかないことを決めたのは教育委員会でございます。 以上です。

 

 しかし、平成31年1月教育委員会定例会の会議録を見ると、「市立学校における今後のプールのあり方について」は「事務局報告」の中で報告されています。

 また、泉南市教育委員会の点検・評価「平成30年度 点検・評価報告書」(PDF)III.教育委員会会議の開催状況」(PDF)には、「(1)令和元年度 教育委員会会議審議案件」と「(2)令和元年度教育委員会会議報告事項」に分けて、会議の内容が記載されているのですが、件名「学校プールのあり方等について」(提出日1月22日)は「審議案件」ではなく、「報告事項」の欄に掲載されています。

泉南市ウェブサイト>教育委員会ポータルサイト>教育委員会>教育委員会の点検・評価の「平成30年度 点検・評価報告書」の 3.教育委員会会議の開催状況 p.9

https://www.city.sennan.lg.jp/ikkrwebBrowse/material/files/group/32/3H30.pdf



 平成31年1月教育委員会定例会の会議録を見ると、教育委員会委員は「検討中」であると説明を受けただけです。泉南市議会会議録 令和元年第4回定例会(第3号)にある岡田教育部長の答弁は事実に反します。学校プールで水泳授業をしないこと、プール自体を使っていかないことを決めたのは 狭義の教育委員会ではありません。
 では、学校プール廃止は、いつ、どこで、誰が決めたのでしょうか。 事業を行うには予算が必要です。予算の動きを見てみます。



1.(2)独立した執行機関であるはずの教育委員会。しかし学校プールに関する予算要求は教育委員会(狭義)の意思決定が及ばないところで決められている。


 2018年12月の教育委員会定例会で 「平成31年度大阪府泉南市一般会計当初予算に係る要求(案)について」が審議されています。

以下は2018.12.17 泉南市教育委員会平成30年第12回定例会会議録です。


泉南市教育委員会平成30年第12回定例会会議録より引用開始

○桐岡教育総務課長
 それでは、議案第3号、平成31年度大阪府泉南市一般会計当初予算に係る要求(案)教育委員会所轄分について説明させていただきます。
 まず、平成31年度の当初予算要求につきましては、財政課から平成31年度の予算編成方針が出されております。
(略)
 それを受けまして、お手元の資料をご確認ください。ページをめくっていただきまして、課ごとに主な事業について、要求額を載せております。
(略)
 次に、学校プール授業事業については、前年度比771万6,000円の増額となっております。増額の主な要因といたしましては、修繕料が450万円の増額。備品購入費が208万6,000円の増額となったためでございます。

引用終了



 会議録の学校プールに関する予算要求部分に下線を引いています。学校プールに関する内容は会議録の中でこの箇所だけです。学校プールに関する事業には、水泳授業を学校プールで行うための「学校プール授業事業」(以下、授業事業)と夏休みに学校プールを開放する「学校プール一般開放事業」(以下、一般開放事業)の二つがあります。しかし、会議録にあるのは授業事業のみで、一般開放事業についての記載がありません。例年通りで増額も減額もない為に記載がないのかもしれないと思ったのですが、確認のために、この平成30年第12回教育委員会定例会議案第3号「平成31年度一般会計当初予算に係る要求(案)」資料を情報公開請求しました。しかし、資料にも一般開放事業に関する記載はありませんでした。資料から授業事業に関して記載されている箇所を転記します。

転記

 学校プール授業事業の主な事業内容等


単位:千円 

◯修繕料 4,800/300(+4,500)、し尿汲取手数料 291、プール開設準備委託1,5301,485(+45) プール総合管理委託 3,313/3,256(+57) 備品購入 2,700/614(+2,086)

註:金額の部分は 31年度予算要求額/30年度予算額(前年比増減) 

 

  プール開設準備委託とプール総合管理委託は45~57(千円)の微増です。しかし、修繕料と備品購入が桐岡教育総務課長の発言にあるように、かなりの増額になっています。さらに、し尿汲取手数料(下線箇所)は金額の後に前年比増減額の記載がありません。前年度の予算では、し尿汲取手数料はどこに計上されていたのでしょうか。平成30年度予算書の内容を確認しました。


平成30年度大阪府泉南市一般会計予算説明書 歳出

 款9教育費 項1教育総務費 目6プール施設費

[2]学校プール一般開放事業 p.343 当該箇所を複写し、薄く色をつけてあります。

https://www.city.sennan.lg.jp/ikkrwebBrowse/material/files/group/8/h30_yosansyo.pdf


平成30年度 教育費 学校プール一般開放事業予算書

 平成30年度予算を見ると、し尿汲取手数料は、 授業事業に計上されておらず、一般開放事業に計上されていました。上の表は平成30年度予算の学校プール一般開放事業の節区分の内訳です。表のし尿汲取手数料 286(千円) と31年度予算要求額の291(千円)がほぼ同じなので、し尿汲取手数料は一般開放事業から授業事業に移動させて、31年度予算要求したと見てとれます。



 そして表のし尿汲取り手数料の上に記載されている修繕料4,500(千円)も同様です。平成30年度予算では一般開放事業で計上されていた修繕料4,500(千円)を平成31年度の授業事業予算要求額の修繕料増額分4,500(千円)として計上したと見てとれます。平成30年度予算の授業事業の修繕料と同額の300(千円)に一般開放事業からの移動分4,500(千円)を加算し、平成31年度予算では4,800(千円)を要求したのではないでしょうか。



 では残る備品購入費の増額について、さらに詳しく見てみます。情報公開請求した資料「平成31年度一般会計当初予算に係る要求(案)」には


学校プール授業事業の主な事業内容等  単位:千円

備品購入 2,700/614(+2,086)


と記載があり、授業事業の備品購入は平成30年度は614(千円)だったものが2,086(千円)の増額となり、平成31年度要求額は2,700(千円)と記載されています。しかし、昨年度(平成30年度)授業事業には節区分「備品購入費」がありません。節区分の記載は「14.使用量および賃借料」までです。



以下当該箇所を平成30年度予算書から複写し、薄く色をつけました。

平成30年度大阪府泉南市一般会計予算説明書 歳出

 款9教育費 項1教育総務費 目6プール施設費

[3]学校プール授業事業 p.343

https://www.city.sennan.lg.jp/ikkrwebBrowse/material/files/group/8/h30_yosansyo.pdf


平成30年度大阪府泉南市一般会計予算説明書 歳出  款9教育費 項1教育総務費 目6プール施設費 [3]学校プール授業事業 p.343

節区分の記載は「14.使用量および賃借料」までで「18.備品購入費」はありません。





平成31年度予算の授業事業の節区分には「18.備品購入費」が加わっています。以下当該箇所を平成31年度予算書から複写し、薄く色をつけました。

(10校分から3校分のプール予算になっているので金額は減っています)


平成31年度大阪府泉南市一般会計予算説明書 歳出

 款9教育費 項1教育総務費 目6プール施設費

[1]学校プール授業事業 p.369

https://www.city.sennan.lg.jp/ikkrwebBrowse/material/files/group/8/h31_yosansyo.pdf


平成31年度大阪府泉南市一般会計予算説明書 歳出  款9教育費 項1教育総務費 目6プール施設費 [1]学校プール授業事業 p.369

節区分に「18.備品購入費」が加わっています。


資料「平成31年度一般会計当初予算に係る要求(案)」には


学校プール授業事業の主な事業内容等  単位:千円

備品購入 2,700/614(+2,086)


と記載されていますが、この備品購入はもともと授業事業にはなく、一般開放事業の「節区分18.備品購入費」を移動させたと見てとれます。前年の614(千円)はそのまま一般開放事業の前年度備品購入費です。(p.3の平成30年度予算説明書[2]学校プール一般開放事業を複写した表参照)そして、増額分+2,086(千円)はこの備品購入費の平成29年度、平成28年度の額が平成30年度よりも大きかったことから、余裕を持たせた予算をつけていると考えられます。平成30年度一般開放事業 節区分18.備品購入費は614(千円)、平成29年度は1,586(千円)、平成28年度は2,500(千円)でした。




 つまり、2018年12月17日時点で教育委員会事務局は、一般開放事業を廃止する予定で予算を要求しています。し尿汲取手数料、修繕費、備品購入費などの、学校プールで水泳授業を行うために必要な予算を一般開放事業から授業事業に移動し計上していたことから推し測れます。しかし、会議録には一般開放事業廃止について全く言及がありません。予算に係る要求(案)の審議において、予算の事業区分の変更(目6プール施設費の 学校プール一般開放事業から 学校プール授業事業へ付け替え)や、事業を廃止する場合、事務局は教育委員会委員に対して説明し、承認を得る必要があるのではないでしょうか。




 念の為に付け加えると、平成31年度授業事業の予算要求額2,700(千円)の修繕費は2018(平成30)年の台風被害の修繕費とは関係ありません。台風被害の見積額は追加調査委託料を除き10校分で64万7,960円です。私たちが情報公開請求した「被害金額報告書(速報)」「歳出予算整理簿2018年度小学校災害復旧事業」「歳出予算整理簿2019年度小学校災害復旧事業」と「平成30年度決算書」から作成した「2018(H30)9月4日の台風21号被害に関わる経費」を見てください。実際に災害復旧費一般会計として支出した額は、平成30年から令和元年5月10日までで86万6,640円で、台風被害は授業事業の修繕費とは別に計上されています。




 では、次の定例会(2019年1月22日開催)の会議録「泉南市教育委員会平成31年第1回定例会会議録」を見てみま。ここでようやく岡田教育部長が、夏休みの学校プール一般開放事業の中止を教育委員会委員に報告します。しかし、先月の定例会の予算要求案において、学校プールで水泳授業を行うために必要な予算を一般開放事業から授業事業に移動し計上していたにも拘わらず、授業事業でも学校プールを使わない方針と言い出しました。何とか使えそうな3校のプール以外は民間の事業者のプールの利用を検討しており、近い将来、全てのプールを閉鎖せざるを得ないと教育委員会委員に報告しています。以下は「泉南市教育委員会平成31年第1回定例会会議録」の学校プールに関する部分の一部引用です



泉南市教育委員会平成31年第1回定例会会議録(2019年1月22日開催)より引用開始


○岡田教育部長

市立学校における今後のプールのあり方についてですが、(略)かなり厳しい考え方をしてございます。(略)台風21号の被害等により学校プールでは稼動できないプールがございます。かなりの修繕を要するプール、あるいは修繕に要する経費の見積もりがまだままならないというような状態があるところでございます。(略)学校プール一般開放事業については、開催の見通しが立ちません。この夏は中止とせざるを得ないと考えております。(略)学校の通常授業としてとり行うプールの授業につきましても、やはり学校プールの利用自体がまだ目処が立たないこともありますので、民間の事業者が運営するプールの利用を検討しております

(略)今のところ何とか使えそうなプールが西信達中学校プール、信達小学校プール、砂川小学校プールの3施設となっております。したがって、これまでどおり授業で使用できるのが、西信達の小・中学校、信達の小・中学校及び砂川小学校、加えて泉南中学校には鳴滝プールで、授業をしておりますが、泉南中学校においては、第二阪和を超えたところにある信達小学校のプールに歩いて行けますので、そちらを使っていただこうと考えております。

 それ以外の学校については、先ほど申し上げた民間事業者のプールにバスを仕立てて移動するイメージで、今学校との意見交換をさせていただいているところです。

(略)

 学校のプールの施設設備は老朽化が進んできております。このたび修理ができない状態があり、修繕等の見通しが立たないということもございますが、今後の維持、改修コスト等を考えますと、平成31年度は先ほど申し上げた3カ所の学校プールは使用できますが、近い将来、全てのプールを閉鎖せざるを得ないと考えておるところでございます。


引用終了


 次に教育委員会定例会で学校プールに関する報告があるのは2019年3月25日の定例会です。「平成 31 年度大阪府泉南市一般会計予算(案)(教育委員会所管分) について 」の報告があり、学校プールに関する会議録の記載は以下の通りでした。


泉南市教育委員会平成31年第3回定例会会議録より引用開始


○桐岡教育総務課長

 それから、1つ飛びまして学校プール授業事業、これにつきましては平成31年の予算額が786万1,000円、平成30年度予算に比べ、マイナス179万9,000円となっております。減額の要因としては、学校プール授業をサンエス温水プールを使用して実施するということで、それにかかわるプール開設準備委託料と、プールの総合管理委託料が大幅に減になったためでございます。


引用終了


 以下の「平成31年度大阪府泉南市一般会計予算説明書 歳出 款9教育費 項1教育総務費 目6プール施設費[1]学校プール授業事業 p.369」と同じ内容です。


平成31年度大阪府泉南市一般会計予算説明書 学校プール授業事業


この日の定例会会議録の学校プールに関する記載箇所はここだけなので、1月の定例会の時に教育委員会委員に対して、検討しておりますとしていた民間プールをサンエス温水プールに決定したこと等、学校プール授業に関する詳しい説明はありませんでした。




 12月、1月、3月の教育委員会定例会会議録や、同会議で提示された予算要求の資料から、学校プールの廃止をいつ、誰が、どういう経緯で決定したのかを調べてきましたが、全くわかりません。


 12月の教育委員会定例会で審議した「平成31年度一般会計当初予算に係る要求(案)」では、事業区分を変更したり、予算をつけず事業を廃止する予定であることを教育委員会委員に説明していません。


 そして1月の教育委員会定例会では廃止する事業から予算を付け替えていた授業事業さえも、3校以外の学校プールを使わない方針と言い出します。12月の予算要求の時点で予算の付け替えを行なっていることから、12月17日以前に一般開放事業廃止は計画していたと思われます。しかし、この12月17日時点で水泳授業を全て学校プールで実施する予定だったのかどうかは不明です。水泳授業は学校プールを使用する予定だったのに、12月から1月の定例会までの間に急きょ学校プールを使わない方針に転換したのか、説明がないのでわかりません。


 3月の教育委員会定例会で示された予算の内容は議会で可決成立した予算の内容と同じものです。学校プール廃止という教育、市民のスポーツに大きな影響を与える予算であるにも拘わらず、事務局は説明を行っていません。教育委員会は、独立した執行機関であるはずなのに、教育委員会(狭義)の意思決定が及ばないところで、教育に関する事柄(授業で学校プールを使用しない等)が、予算を通じて決められているのです。


 予算の調製権、予算案提出権、執行権は市長の専権ですが、教育に関する事務については、首長から独立した教育委員会が責任を負っています。執行機関である首長が、別の執行機関である教育委員会の権限を侵害していると言えるのではないでしょうか。





1.(3)学校プール廃止が編成された平成31年度大阪府泉南市一般会計予算の審議時に、全ての議員に対して学校プール廃止について資料を提示し、説明をしていない。


 3月の教育委員会定例会の次の日、2019年3月26日平成31年第1回定例会議案19号「平成31年度大阪府泉南市一般会計予算」が賛成多数で原案可決され、予算の中に入っていた学校プール廃止(2019年度は3校のプールのみ授業事業で使用)が決定しました。「平成31年度 大阪府泉南市予算書及び予算説明書」PDFファイルとともに 予算審議時に議員に提示された「平成31年度泉南市予算のあらまし」PDFファイルの 4 歳出予算・目的別(一般会計)の「教育費」には以下の通り書かれています。当該箇所を転記します。


■ 教育費 

 学校教育のほか、生涯学習等の教育全般にわたる事務又は事業に要する教育費 は、23 億 6,068 万 3 千円の計上としました。学校プール一般開放事業が皆減とな ったものの、中学校老朽化対策事業や私立幼稚園支援事業の増額などにより、前 年度と比較して約 4 億 4,000 万円(22.9%)の増額です。 

 学校プール一般開放事業が廃止になって事業費が0になったことは書かれていますが、学校プール授業事業の変更は何も書かれていません。私たちは、予算審議時に学校プール廃止について、議員に対して充分な説明を行ったのかを確認するために、教育委員会に対して以下の質問をしました。(学校プールに関する教育委員会とのやりとり 質問 → 回答 → 再質問 → 再回答はこちら)


(質問)泉南市において、「様々な資料を議会に提出した」とあるが何を提出したのか一覧にして欲しい。(市民の財産である公共施設の廃止検討時は固定資産台帳の提出が必要と考える。議員に対して固定資産台帳や老朽化度調査結果は提出したのか?)


 回答の資料一覧は議員個人に提出された資料のようだったので、再度質問しました。再質問と再回答は以下の通りでした。


(再質問)請求を受けて提出した資料について 提出先は議員個人か?

(再回答)泉南市議会基本条例第9条第4項に基づく市議会議員からの資料請求により資料を提出している。


 回答の資料一覧の提出日が全て予算成立後の5月以降だったこと、また再回答に、「泉南市議会基本条例第9条に基づく」とあったことから、同条例の第11条に基づく予算及び決算の審議に当たって「議会」への資料提出はなかったものと解釈します。


 次に、予算審議時に示した資料がないか再度確認するために3月議会で示した資料を質問しました。


(再質問) 請求を受けて提出した資料について 提出時期がR1.5月以降になっているが、H30.9.4台風以降H31.3月議会で示した資料はないのか?


(再回答)プールに関して、資料請求以外に市議会等へ説明を行った際に示した資料は、下記の通り。 (註:以下、色をつけていますが、文章は原文ママ)


平成31年第1回定例会厚生文教常任委員会の報告事項として「市立学校プールの在り方」について説明を行い、資料を提示済み。

 平成31年第2回市議会厚生文教常任委員会の報告事項として「学校園プール授業について」説明を行い、資料を提示済み。(註:令和元年6月1日開催だったのに平成表記)

 平成31年第4回定例会厚生文教常任委員会の報告事項として「令和2年度水泳授業について」説明を行い、資料を提示済み。(註:令和元年11月29日開催だったのに平成・年度表記)


 3月の予算審議に関係するのは、2019(H31)年3月13日の(第1回)厚生文教常任委員会と思われます。しかし、同委員会の会議録を見ても説明箇所が見当たりません。議員のツイッターやブログを調べた結果、2019年3月4日の厚生文教常任委員協議会において、「市立学校プールの在り方」の説明を行なっていたことがわかりました。教育委員会の再回答には厚生文教常任委員会とありますが、これは会議名ではなく委員会名で、説明を行った会議名は厚生文教常任委員協議会です。常任委員会は、泉南市議会委員会条例で定められた、本会議から付託を受けた議案や請願について審査する議会の内部機関です。しかし、協議会に関する例規が見つからず、議会事務局に問い合わせました。協議会というのは、常任委員会に付属していて、常任委員会を行う前の段階で説明のために集まっている会議だそうです。法で定められた会議ではなく、議事録も残していないとのことでした。

 また、以下の市議会会議録からも厚生文教常任委員協議会でプールの説明があったことがわかります。 


泉南市議会会議録2019.3.6 平成31年第1回定例会(第1号)本文より引用開始


87 ○8番(古谷公俊君)
 市民のスポーツの参加の機運を高めていくという中で、先日、厚生文教常任委員協議会のほうでお話が出たんですけれども、小学校のプールの件なんですけれども、これが屋外プールが将来的には、今期2校ですか、信達とどこだったかな、ちょっと私も記載漏れだったんですけれども、2校が屋外プールをやる中で、次は再来年度はもう全部屋外プールをしないというような話を聞きました。 


引用終了

  つまり、教育委員会は、「市立学校プールのありかた」という資料のみを2019年3月4日の厚生文教常任委員協議会で報告事項として説明しただけです。しかも、この資料「市立学校プールのありかた」の内容は教育委員会(狭義)で審議していません。誰がいつ作成したのか不明の資料の説明を厚生文教常任委員協議会で行なっているのです。(註:「市立学校プールのありかた」期せずして情報公開されました。私が公開して欲しかった文書は別のものだったのですが。)

 2019年3月13日の第1回厚生文教常任委員会では審議案件ではないので、学校プールのことは審議されていません。

 第1回定例会でも厚生文教常任委員会からあがってきた審議案件にないので、厚生文教常任委員協議会に出席していた議員が、代表質問や一般質問で少し取り上げた程度です。


 2019年度予算審査特別委員会では議員個人にも議会にも資料提供がなかったので、厚生文教常任委員協議会に出席していない議員はプールに関して質問をしていません。厚生文教常任委員協議会に出席していない議員は「平成31年度泉南市予算のあらまし」PDFファイルの内容しか知らなかったのではないかと思われます。


 「平成31年度大阪府泉南市一般会計予算」PDFファイルは原案通り可決成立しましたが、その後の議会で議員から度々学校プールに関する質疑がありました。これは、学校プール廃止に関する説明を理事者側が果たしていないと市議会議員も考えていることの表れだと思います。後ほど詳しく述べますが、学校プール廃止は「泉南市公共施設等最適化推進実施計画」PDFファイルの対象施設なので、行財政問題対策特別委員会で審査すべき案件ではないでしょうか。予算成立以前に厚生文教常任委員協議会に提出された資料「市立学校プールのありかた」には、「泉南市公共施設等最適化推進実施計画」PDFファイルに基づく、担当課が議会・市民に報告すべき財務諸表・固定資産台帳・劣化度等、廃止の可否を検討する資料は一切記載されていません。


  理事者側は、市議会に対しても説明責任を果たしているとは思えません。


1.(4)竹中勇人市長答弁 「去年の秋からの検討」を裏付ける文書を情報公開請求したが、公開請求内容(件名)が改変され、請求したものとは違う文書が公開された。


 教育委員会定例会会議録や同会議で使用された資料、泉南市議会会議録から、学校プールの廃止をいつ、誰が、どういう経緯で決定したのかを調べてきましたが、全くわかりません。 


 決定時期等を確認するため、市議会会議録 2019年6月7日令和元年第2回定例会(第3号)の88番 竹中勇人市長答弁 「去年の秋からの検討」を裏付ける文書を情報公開請求しました。


 泉南市情報公開請求書の(1)件名に「市長の市議会答弁(別紙参照)にある「温水プールを使っての授業」を去年(註:2018年)秋から検討したことがわかるすべての文書(会議録、メモ等)を出してください。」と書いて請求したのですが、泉南市情報公開決定通知書に記載された(1)件名(公開された文書の内容)は「温水プールを使っての授業の検討資料」に改変されていました。公開された資料は、3月の厚生文教常任委員協議会で提示した「市立学校プールのありかた」と5月の同協議会で提示した「学校園の水泳授業施設の在り方の見直しについて」他で、いつ検討したのかわかる資料ではありませんでした。情報公開される前に、メールでも担当者に請求内容を確認しており、なぜ請求した文書と別の文書を公開したのか理解できません。註:6月4日付で情報公開審査請求しました。情報公開審査請求を出すのも大変でした)

 いつ、誰が、どういう経緯で決定したのかは不明のままです。以下はその 竹中勇人市長 答弁です。 

2019年6月7日令和元年第2回定例会(第3号)より引用開始


 今回は、それはFMの計画としては、そういう位置づけではございますけれども、昨年の猛暑、それからその後の台風での被害、そういうのもありまして、本年度のプールの使用が、あの猛暑によって、子どもたちに対する熱中症のおそれがあるということもありまして、急遽温水プールを使っての授業はできないかということの検討をさせていただきました。

 そういう去年の秋からの検討ということになったこともありまして、市民の皆さんへの決定してからの説明の時間が足りなかったということでございまして、それにつきましては、5月に市民の保護者の皆さんに学校を通じて、その辺の文書を送付させていただきました。


引用終了


 「いつ、どこで、誰が学校プール廃止を決定したのか」を調べていくと、教育委員会の機能不全が目につきます。次項で詳しく述べますが、本来ならば、学校プール廃止を検討するための審議を教育委員会(狭義)で行い、方向性を決めたのちに予算案策定を行わなければならないはずです。しかし、審議も行わず、まるで教育委員会委員の目を盗むかのようにして予算案策定を行なっているように見えます。議会において、理事者側は、市議会議員に対しても必要な説明を行っておらず、学校プール廃止を決めたのは教育委員会(狭義)だと答弁しています。市民が情報公開請求をすれば、公開請求内容を改変し、請求した文書を公開しません。「いつ、どこで、誰が学校プール廃止を決定したのか」とともに、市長、教育長に問います。


教育委員会委員、議員、市民の目を欺かなけばならないような理由があるのですか。学校プール廃止は、誰のための施策なのですか。


 教育に関する事柄(授業で学校プールを使用しない等)が、教育委員会(狭義)とは別のところで、予算を通じて決められているのは、教育委員会の権限を侵害しています。 執行機関である首長が、別の執行機関である教育委員会の権限を侵害し、教育委員会制度の特性である「首長からの独立性」が脅かされていると言えるのではないでしょうか。 

 そして「いつ、どこで、誰が学校プール廃止を決定したのか」が明らかでないということは、市民、市民の代表である議員の目の届かないところで税金の使い道が勝手に決められているということになり、問題です。予算案を議会に提出できるのは 竹中勇人 市長だけです。市長の責任を強く問います。





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