「地方教育行政の組織及び運営に関する法律」第二十一条には教育委員会の職務権限が定められています。その中でも今回の学校プール廃止に関するものを以下に記します。
第二十一条 教育委員会は、当該地方公共団体が処理する教育に関する事務で、次に掲げるものを管理し、及び執行する。
五 教育委員会の所管に属する学校の組織編制、教育課程、学習指導、生徒指導及び職業指導に関すること。
七 校舎その他の施設及び教具その他の設備の整備に関すること。
十三 スポーツに関すること。
また泉南市ウェブサイト>教育委員会ポータルサイト>教育委員会には以下のように記されています。
https://www.city.sennan.lg.jp/kakuka/kyouiku/kyouiku_soumu/1596416378075.html
引用開始
教育委員会は、「地方教育行政の組織及び運営に関する法律」の定めるところにより、教育の中立性を確保し、公正な民意により、地方の実績に即した教育行政を行うために設けられた合議制の執行機関です。
学校及びその他の教育機関を管理し、学校の組織編制、教育課程、教科書その他の教材の取扱い及び教職員の身分取扱いに関する事務並びに生涯学習、文化財の保護などに関する事務を管理執行しています。
引用終了
学校プール廃止の決定は「地方教育行政の組織及び運営に関する法律」で定められた、教育課程、学習指導、校舎その他の施設の整備、スポーツに関する教育委員会の職務権限に含まれます。廃止決定を教育委員会(定例会)で審議していないということは、教育委員会の職務権限が侵害されているということです。 また、同法17条には「教育の権限に属する事務を処理させるために事務局を置く」と事務局の役割がありますが、適正に機能しているとは思えません。 以下、詳しく述べます。
2.(1)「地方教育行政の組織及び運営に関する法律」第二十一条 五 教育委員会の所管に属する学校の組織編制、教育課程、学習指導、生徒指導及び職業指導に関することが教育委員会(定例会)で審議されず、「公正な民意による、地方の実績に即した教育行政」を行っていない。
教育課程とは、学校教育の目的や目標を達成するために教育の内容を児童生徒の心身の発達に応じ、授業時数との関連において総合的に組織した学校の教育計画です。 2019年度の水泳授業は3校のプールのみ授業事業で使用し、その3校のプールを使用しない学校についてはサンエス温水プールを2コースのみ使用することになりました。サンエス温水プールまでの移動時間が必要になるため、サンエス温水プールを使用する児童はもちろん、学校プールを使用する児童も、 授業時数が減らされています。これは教育課程の変更に当たります。以下、市議会会議録の授業時数等に関する箇所です。
泉南市議会会議録 平成31年度予算審査特別委員会(第2号)本文より引用開始
◯岩崎学務課長
もう1点、サンエスプールの学校水泳の授業支援事業、366ページの、3小学校以外の残りの7校は、どのような計画で進まれるのかという御質問がございましたことにつきましては、来年度大体6月から11月の期間で、子どもたちお一人当たり3回、3日間入水するという、サンエスを活用するという方法で、学校水泳の計画を進めているところでございます。
引用終了
泉南市議会会議録 2019.6.14令和元年厚生文教常任委員会 本文より引用開始
◯和気委員
学校プールをなくされた子どもたちは、バスに乗って今阪南市と泉南市の境界にあるサンエスプールに行くわけですけれども、今まで10こまあったプール授業は移動時間を要するため、6こまに減らされています。
学校プールでは、全コースを使って伸び伸びと泳いだり遊ぶことができました。ところがサンエス温水プールでは、一般利用者と共用のため、子どもが使えるのは2コースだけ、子どもを狭いところに押し込んで、楽しみながら水泳が上達できるのでしょうか。また、一般利用者も2コース分減らされて苦情が出ているというふうに聞いております。
学習指導とは、教科外領域における生活指導に対し、学校における各教科の学習の指導の総称です。サンエス温水プールの2コースのみを使用して行われること、専門的指導技術を持ったスイミングスクールのインストラクターの指導を受けることは学習指導の変更に当たります。
以下、① 学習指導等について記載のある会議録
② 提出された資料
③ ①と②の記載内容を比較した表を、順次載せています。
○岡田教育部長
市立学校における今後のプールのあり方についてですが、これにつきましては、これまでもいろいろご意見を賜っているところでございますが、このような形でかなり厳しい考え方をしてございます。黒丸ですが、台風21号の被害等により学校プールでは稼動できないプールがございます。かなりの修繕を要するプール、あるいは修繕に要する経費の見積もりがまだままならないというような状態があるところでございます。
つきましては、これまで高い評価をいただいているところですが、学校プール一般開放事業については、開催の見通しが立ちません。この夏は中止とせざるを得ないと考えております。当然、夏休みの子どもの居場所づくり事業については別途計画を進めておるところでございます。
同時に学校の通常授業としてとり行うプールの授業につきましても、やはり学校プールの利用自体がまだ目処が立たないこともありますので、民間の事業者が運営するプールの利用を検討しております。具体的には男里にありますサンエス温水プール、それから新家のマコトスイミングスクールなどの利用を検討しております。各プールにバスを準備して授業を行っていくということを考えております。
今のところ何とか使えそうなプールが西信達中学校プール、信達小学校プール、砂川小学校プールの3施設となっております。したがって、これまでどおり授業で使用できるのが、西信達の小・中学校、信達の小・中学校及び砂川小学校、加えて泉南中学校には鳴滝プールで、授業をしておりますが、泉南中学校においては、第二阪和を超えたところにある信達小学校のプールに歩いて行けますので、そちらを使っていただこうと考えております。
それ以外の学校については、先ほど申し上げた民間事業者のプールにバスを仕立てて移動するイメージで、今学校との意見交換をさせていただいているところです。
学校からも学校プールの一般開放の中止や学校プールを授業で利用できないのは残念だという声もございますが、我々としましては民間のプールを使うことで専門家の水泳指導による質の向上、安全管理面での向上、それから、やはり水泳指導に不慣れな若い先生も増えておりますので、そういった教員の方の負担軽減といったメリットを外部のプールを使うことで見出していきたいと考えております。
あと、学校のプールの施設設備は老朽化が進んできております。このたび修理ができない状態があり、修繕等の見通しが立たないということもございますが、今後の維持、改修コスト等を考えますと、平成31年度は先ほど申し上げた3カ所の学校プールは使用できますが、近い将来、全てのプールを閉鎖せざるを得ないと考えておるところでございます。
この20年間で全国の公立学校の25%程度が学校プールを廃止するというような報告で進んできているということもありますので、恐らくそう言った形で学校プールについては全面的に外部プールを利用する時期に移っていくというふうに考えているところでございます。
(略)
○片木教育長職務代理者
それでは、ただいまの報告に対しご質問・ご意見等はございませんでしょうか。
来年度の学校プールですが、3カ所稼働するということで、再来年から3カ所になるということではないんですか。一応今後の方向性を示されたということですか。学校プールが使用できなくなるのは、修繕等の関係で来年度はやむを得ないとしても、今後学校プールを廃止していくというのは、今後の方向性ということですか。
○岡田教育部長
はい、そうです。学校プールにつきましては、来年度、先ほど申し上げた3カ所の学校プールを稼働できても、再来年度以降は、修繕等の見通しが立たないかもしれないというところがございますので、かなりの確率で全ての学校プールが稼働できない可能性もあるのではないかと考えております。
あと、民間のプールを利用する方がよりいいという結果となれば、民間のプールを利用する方向に切りかえると判断したいと思います。
引用終了
以下は泉南市教育委員会平成31年第1回定例会(2019年1月22日開催)で提出された資料「○市立学校における今後のプールのあり方について」より当該部分のみ複写したものです。
②市立学校における今後のプールのあり方について
以下は、2019年3月4日厚生文教常任委員協議会で提出された資料「市立学校プールのありかた」を複写したものです。 ②市立学校プールのありかた
会議録や、資料で示した通り、教育課程と学習指導の変更が行われました。しかし、教育委員会定例会では、この教育課程、学習指導の変更についての審議はありませんでした。さらに驚くべきことに、教育課程、学習指導を変更したという事実を、教育委員会委員が知ったのは、 2019年6月24日です。上の表の2019年1月22日の教育委員会定例会会議録と配布資料の部分を見てください。「検討中」や「考えております」となっていて、教育課程、学習指導の変更について、1月22日時点では何も決まっていないことがわかります。この後、 泉南市教育委員会令和元年第6回定例会「教育長報告」まで教育委員会委員には報告さえもありませんでした。
泉南市教育員会がウェブサイトで掲げるように、教育委員会は「地方の実績に即した教育行政を行うために設けられた合議制の執行機関」でありながら、学校プール廃止に関わる教育課程、学習指導の変更については合議どころか報告さえされておらず、教育委員会委員が教育課程、学習指導の変更を知ったのは、学校プール廃止が決定した2019年3月議会よりもさらに後、保護者説明会の後だったのです。
2.(2)「地方教育行政の組織及び運営に関する法律」第二十一条 七 校舎その他の施設及び教具その他の設備の整備に関することが教育委員会(定例会)で審議されず、教育委員会は「公正な民意による、地方の実績に即した教育行政」を行っていない。
学校施設の管理、維持管理、保全は、市長の所管ですが、同法により市長は教育委員会の意見を聞く必要があります。今回の学校プールの廃止は教育課程、学習指導に大きく関わる事柄なので、なおのこと教育委員会委員の意見を聞く必要がありましたが、教育委員会事務局は学校プールの現状を教育委員会委員に説明し、意見を求めることをしませんでした。
施設としての学校プールの現状を見てみます。教育委員会が提示した2019年3月4日の厚生文教常任委員協議会の資料「市立学校プールのありかた」(p.15 p.16)には、老朽化、修繕費・水光熱費の漸増、過去の防風被害状況を示すもの、資産状況を示す固定資産台帳などのプールを廃止するにあたって妥当性を示す詳細な情報が一切記載されておらず、泉南市の学校プールの現状を正しく報告したものではありません。私たちが調べた学校プールの「 a 老朽化」「 b 修繕費」について結果を述べます。
a)教育委員会定例会や市議会において、教育委員会は、プール廃止の理由に老朽化をあげていたが、行革・財産活用室が作成した「各小学校の劣化度調査の結果」を見ても学校プールは校舎などの他の建物に比べて劣化していない。
2019年3月6日泉南市議会平成31年度第1回定例会で市長が「(前略)特に最近は築30年を超えるようなプールが増えてきておりまして」と答弁し、2019年6月5日同定例会で、岡田教育部長も「本市の10か所あるプールにおきましては、(略)最も新しいもので築27年ぐらいということで、30年近いという状況でございます。最も古いもので四十数年ということで、平均して30年という状況です」と答弁しています。また、泉南市教育委員会令和元年第6回定例会会議録 p.11右側下から二行目の阪上教育部次長兼人権教育課長の発言に「プールの耐用年数は30年となっており」とあります。30年を超えているプールは老朽化していて、使えないと言わんばかりですが本当にそうでしょうか。
私たちは 教育委員会に対して以下の質問をしました。(質問と回答の一覧を末尾に載せています)
(質問)減価償却を待たずに「除却」の方向へ進んでいるが、資産の位置づけをどう考えているのか?(回答)・財務省「減価償却資産の耐用年数等に関する省令(昭和40年大蔵省令第15号)」によると水泳プールの耐用年数は「30年」と規定されており、本市は殆どのプール施設が耐用年数を超えているため、資産の減価償却は済んでいると考える。
しかし実際に固定資産台帳を情報公開請求したところ、新家小学校のプールを除き、減価償却は終わっておらず、資産として残っていました。(私たちが作成した添付資料「プール減価償却残高&劣化度評価」に記載しています。)資産として残っているということは、財務省の省令に則って減価償却していないということではないでしょうか。会計監査上の耐用年数を適用していると考えられます。泉南市では学校プールの耐用年数を固定資産台帳では、会計監査上の耐用年数を適用し、老朽化をはかる指標としては、財務省の省令による耐用年数を適用するのでしょうか。
そして、老朽化度は各プール個別に行うものです。岡田教育部長の言うように「平均して」出すものではありません。国は、2013年に「インフラ長寿命化基本計画」を取りまとめました。同計画を受けて文科省は「学校施設の長寿命化計画策定に係る手引き」を取りまとめました。
その文科省の「学校施設の長寿命化計画策定の手引と解説書」では、学校施設の老朽化状況の実態を把握するために、p.20「改修方法等の検討に必要な劣化状況等の実態として、構造躯体の健全性の評価を行うとともに、構造躯体以外の劣化状況等の評価項目を地域の実情に応じて決定した上で評価を行い、現状と課題を整理する」とあります。また、「目標使用年数の設定」p.26には、「鉄筋コンクリート造の学校施設の法定耐用年数は,47年となっているが,これは税務上,減価償却費を算定するためのものである。物理的な耐用年数はこれより長く,適切な維持管理がなされ,コンクリート及び鉄筋の強度が確保される場合には70~80年程度,さらに,技術的には100年以上持たせるような長寿命化も可能である。これを踏まえ,『(3)2学校施設の老朽化状況の実態』における構造躯体の健全性の評価結果等に基づき,学校施設の目標使用年数を設定する。」とあります。
実際に老朽化をチェック、報告もせず、財務省「減価償却資産の耐用年数に関する省令」の耐用年数の30年をもって老朽化したとは言えません。
市議会会議録で竹中勇人市長がプール廃止の理由に老朽化をあげている箇所を以下に記します。
引用開始
2019.3.6 平成31年第1回定例会(第1号)
非常に老朽化が進んできた。この中でその老朽化したプールを維持していくのは非常に難しいということで、今回こういうプールの授業を別のところですることを考えたわけでございます。93番 ○市長 竹中勇人君
引用終了
では、行革・財産活用室が作成した、公共施設の劣化等の状況を把握するための「各小学校の劣化度調査の結果」(2021年2月5日入手)を見てみます。(「泉南市公共施設等最適化推進実施計画」のp.40「施設及びインフラの維持管理保全策」に基づく)
以下の表の建物評価とは、数字が大きいほど劣化が進んでいることを表します。
偏差値とは、泉南市の公共施設全体の中で、その建物がどのくらい劣化が進んでいるかがわかるように算出した数値です。50を平均値として、50よりも大きければ平均より劣化が進んでいない(新しい)ことを表し、50より小さければ平均より劣化が進んでいることを表します。
偏差値表示マークは、55以上:◎ 45以上55未満:◯ 45未満:△ を表します。
行革・財産活用室作成の「各小学校の劣化度調査結果」からプール棟の値のみ表にしました。
記載のない鳴滝小を除いて偏差値が59.6~64.8となっており、プールは校舎などの他の建物よりも新しく、劣化が進んでいないことがわかります。
私たちも「泉南市公共施設等最適化推進実施計画」(PDFファイル)p.35にある学校プール施設の実態として示されていた2014年度を起点として、2018年までの学校プールの修理箇所の情報公開請求を行いました。その修理箇所の資料と、行革・財産活用室の「施設、設備の劣化度判断基準表」を基に、修理箇所数によりA~D評価をし、A判定は点数が1点、B判定は2点、C判定は3点、D判定は4点と、4点満点で点数化することで 独自に劣化度評価を作成しました。点数が大きい方が劣化が進んでいることを示していて、「各小学校の劣化度調査結果」と合致するものとなっています。(私たちが作成した「プール減価償却残高&劣化度評価」はこちら)
b) 市議会において竹中勇人市長は、プール廃止の理由に修繕費の急増をあげていたが、2014年度以降、修繕費は急増していない。
市議会会議録では竹中勇人市長がプール廃止の理由に修繕費等の急増をあげています。
2019.3.6 平成31年第1回定例会(第1号)
学校プールは、施設の修繕など維持管理経費や光熱水費、運営経費とかの負担が非常に大きくなってきまして、特に最近は築30年を超えるようなプールがふえてきておりまして、その辺の修繕費等も急増しておる状況でございまして、(89 ○市長 竹中勇人君)
私たちが作成した「プール減価償却残高&劣化度評価」に、修繕費の合計も記載しています。「泉南市公共施設等最適化推進実施計画」(PDFファイル)p.35にある学校プール施設の実態として示されていた2014年度を起点として2018年までの学校プールの修繕費を載せています。
2014年以降の設備に要するプール全体の修繕費
2014(H26)年度修繕費 5,336,005円
2015(H27)年度修繕費 4,321,058円
2016(H28)年度修繕費 2,266,300円
2017(H29)年度修繕費 4,766,943円
2018(H30)年度修繕費 4,489,063円
2014年~2018年の学校プール修繕費は急増していません。
では、学校プールの「老朽化」「修繕費」について、教育委員会提示の「市立学校プールのありかた」(p.15 p.16)が泉南市の学校プールの現状を表していないのはなぜでしょうか。
「老朽化」については、学校プールの耐用年数を財務省の「減価償却資産の耐用年数等に関する省令」で規定された30年とすることで減価償却済みとして、劣化度調査をしていないことにあります。「小学校の劣化度調査の結果」(行革・財産活用室)を私たちが得たのは、2021年2月5日です。その後の2月10日の時点で、教育委員会は私たちの質問に対して『現在鋭意作用中の「(仮称)泉南市個別施策計画」に掲載する予定』と回答してきました。以下、当該質問と再回答です。(質問と回答一覧はこちら)
(2)泉南市において、様々な資料を議会に提出したとあるが何を提出したのか一覧にして欲しい。(市民の財産である公共施設の廃止検討時は固定資産台帳の提出が必要と考える。議員に対して固定資産台帳や老朽化度調査結果は提出したのか?)
(再質問)請求を受けて提出した資料について
6.老朽化度、固定資産台帳は示していないのか?
(再回答)劣化度調査結果については、現在鋭意作業中の「(仮称)泉南市個別施設計画」に掲載する予定。固定資産台帳は、泉南市Webサイト中「ホーム>各課のご案内>行革・財産活用室>固定資産台帳について」にて公表済み(行革財産活用室)
つまり、2021年2月5日に私たちが得た「小学校の劣化度調査の結果」が作られるまで、劣化度調査は行われていなかったため、2019年3月4日に教育委員会が提示した「市立学校プールのありかた」は泉南市の学校プールの現状を表していないのです。
「修繕費」についても同様です。「泉南市公共施設等最適化推進実施計」p.35の、「ウ.学校プール施設」の項に2014年度「学校別コスト一覧」の掲載があります。この表のその後の経年データを教育委員会に求めましたが、「計画時にしか作ってない」との返答で入手できませんでした。 私たちが、情報公開請求で「学校プール施設の修繕等に関する資料」を請求し、計算しなければ、修繕費の推移がわかる資料は泉南市に存在しなかったのです。
教育委員会が提示した「市立学校プールのありかた」(p.15 p.16)の、「1)学校プールの現状についての考え方」は、泉南市の学校プールの現状が正しく記されていませんでした。では「2)学校プール授業について」はどうでしょうか。私たちは 2019年1月22日に開催された教育委員会定例会会議録にある、岡田教育部長の「この20年間で全国の公立学校の25%程度が学校プールを廃止する」という発言から、他市の学校プールについても調べました。例えば、千葉県佐倉市のニュース記事を見てください。
日経BP 新・公民連携最前線 PPPまちづくり
小学校の授業で民間プールを利用、佐倉市の公民連携FM ファシリティの「見せる化」で周囲を説得 赤坂 麻実=ライター 2016.03.25
https://project.nikkeibp.co.jp/atclppp/15/434167/032200026/
一部引用開始----
学校のプールを撤廃して、水泳の授業を市内のスイミングスクールで行う――。こんなユニークな公民連携の取り組みを実施しているのは、千葉県佐倉市だ。
学校の教師に加え、スクールのインストラクターも水泳の指導に当たるため、泳力がついたと児童や保護者に好評だという。保護者からは予定が天候に左右されないことや盗撮などの心配がないこと、学校関係者からは安全管理面での教員の負担が軽減されること、水温や水質、衛生管理などの面で安定した環境で授業ができることから、ぞれぞれ満足度も高い。
(中略)
スイミングスクールと学校との間は、スクールが所有するバスで教師3~4人と児童約100人が移動する。移動時間を考慮して、従来2コマ×5回だった授業を、2.5コマ×4回に変更する必要があったが、市の教育委員会もカリキュラム変更を承認。
一部引用終了----
引用部分の下線を引いた箇所が泉南市教育委員会が厚生文教常任委員協議会で提示した「市立学校プールのありかた」の「2)学校プール授業について」に酷似しています。
教育委員会が厚生文教常任委員協議会で提示した「市立学校プールのありかた」p.15 p.16より転記します。
2)学校プール授業について
民間プールを活用することとする
①複数校が共用施設として屋内プールを活用することで、気温や天候に左右されることなく年間スケジュールに沿って水泳指導が実施できる。
②専門的指導技術を持ったインストラクターの指導を受けることにより、子供達にとって効果的に水泳技能の上達が期待できる。
③水泳授業期間中、毎日行うプール指導の準備や水質管理等について、教職員が行う負担が大幅に減少する。
転記終了
日経BP 新・公民連携最前線 PPPまちづくりから引用した箇所以外には、佐倉市の資産管理経営室が節電の調査を行い、学校プールの消費電力量に着目したことなどが書かれています。佐倉市では、FM(ファシリティマネジメント)の一環として行われた事業としています。当然のことですが、佐倉市の教育委員会は、カリキュラム(教育課程)変更を承認しているとしています。
佐倉市を参考にしたのかどうかはわかりませんが、泉南市教育委員会が「学校プール授業について」他市を参考にするということは十分考えられます。しかし、他市の事例を泉南市にそのまま当てはめることはできません。他市と泉南市では異なる部分があるからです。サンエス温水プールでの授業は2コースしか使えません。水深が深いのでプールの底に台を並べて置かなければなりません。10校の児童生徒の授業をサンエス温水プール一つで行うためには冬でも水泳授業を実施しなければなりません。他市の施策を泉南市に取り入れるためには、当市において必要な調査をし、実情に即した計画を法に則って実施する必要があります。そうでなければ、しわ寄せは子どもたちにいきます。泉南市教育大綱には「皆で育む『大いなる希望』」と子どもたちを泉南市の希望と謳っていますが、子どもたちを大切にしているようには全く見えません。
2.(3)「地方教育行政の組織及び運営に関する法律」第二十一条 十三 スポーツに関することが教育委員会(定例会)で審議されず、 教育委員会は「公正な民意による、地方の実績に即した教育行政」を行っていない。
泉南市には市民プールがありません。学校プール一般開放事業は市民も利用できるプールでした。その学校プールを廃止することは、スポーツ基本法で定められた権利「スポーツは、これを通じて幸福で豊かな生活を営むことが人々の権利である」の侵害です。廃止にあたっては、教育委員会(定例会)で市民に対する影響も検討する必要がありました。
ご存知とは思いますが、公務は法規に則って行わなければなりません。(法律による行政の原理) 「地方教育行政の組織及び運営に関する法律」に違反する行政活動で決定した学校プール廃止は無効となるのではありませんか。(法律の優位)法律を遵守せず、教育委員会(狭義)の権限を侵害している泉南市教育委員会は法による支配ではなく、人による支配で公務が行われているのでしょうか。誰による支配ですか。明らかにしてください。