学校プール廃止を決めた予算の審議で、泉南市は資料も示さず説明もしていない


 学校プールは泉南市が今後の公共施設のあり方を考えるために策定した「泉南市公共施設等最適化推進実施計画」(PDFファイル)対象施設です。市長も、市議会で




 FMの計画の、いわゆる猛暑への対策としての前倒しという位置づけで御理解いただけたらというふうに思います。
(88 ○市長 竹中勇人君



と答弁しています。FM計画に基づくのならば「泉南市公共施設等最適化推進実施計画」p.63以降にある「3.推進体制」に記された内容の資料提供と説明が必要です。予算審議時に、議員や議会に対して固定資産台帳や老朽化度調査結果の資料提供と説明が行われたのかを教育委員会に質問しました。


ここから質問→回答

(質問) 2.(1)31年度予算審議時、議員に対して本件が行革・公共施設等最適化推進実施計画に基づくものだという説明があったのか?


(回答)
・平成31年度予算審査特別委員会においては、プールに関し2点の質疑があり、それに対する回答は下記の通り。

①学校プール廃止後の市民プールについてどう考えているか?
(回答)今後、市民が利用できるプールについては、民間活用の導入も視野に入れ、新たな温水プールの設置も含めて検討する必要があると考えている。
②学校プールの一般開放事業の中止をなぜ判断したのか?
(回答)プールの一般開放事業は、これまで継続して実施してきたが、昨今のこの暑さに対する子どもの安全確保への意識が高まっているため、炎天下で実施する一般開放事業について全面中止することと判断した。

質問→回答終了


この回答からわかること

 平成31年度予算審査特別委員会での2点の「質疑」に対する「答弁」ではなく「回答」と記述していることに注目してください。二つの「回答」の内容は予算審査特別委員会の議事録に存在しないことを自ら述べているのです。平成31年度予算審査特別委員会において議員に対して行革・公共施設等最適化推進計画に基づくものだという説明はありませんでした。

 

 

ここから質問→回答再質問再回答

(質問) 2. (2)泉南市において、様々な資料を議会に提出したとあるが何を提出したのか一覧にして欲しい。(市民の財産である公共施設の廃止検討時は固定資産台帳の提出が必要と考える。議員に対して固定資産台帳や老朽化度調査結果は提出したのか?)

参考:市議会議事録より抜粋

泉南市において、様々な資料をこれまで議会でも提出し、説明をしてきましたが、市の判断として総合的そのような方向性を出してやっている。(古川教育長 2019.12.4)

プール廃止にかかわる効果額の計算書、プール別のコスト計算書・修繕費の推移及び今後の見込みについての資料に誠意がない。(堀口議員 2019.6.20)

行政が、市長が説明責任を果たしていない。確かな根拠とデータを持って議会が説明すべき(森議員 2019.6.14)

長寿命化コストの提示を求める。こんな大事な話を保護者にしないのは深刻。(山本議員 2019.5.26 6.7)



(回答)
・請求を受けて提出した資料は、下記の通り。



提出日

資料名称

令和1年

5月24日

・学校プールの効果額

・プールの設置経緯

・温水プールでの授業形態

学校プール廃止について教育関係者からの意見

・近隣のプール設置状況と設置計画

6月  7日

・プール廃止にかかる効果額計算書等

9月12日

・プール施設の除却費用

9月19日

学校プールの廃止を決めた会議の議事録

プール廃止を決めた会議の日、参加者

11月  6日

・台風第21号被害で学校プールが受けた被害・影響

11月29日

学校プールの年度別民間委託と利用状況

11月29日

・2018、2017、2016年度のプール一般開放実績

H31.1教委定例会のプールに関する提出資料

12月13日

プール槽、配管の不具合の可能性があるプール一覧

令和2年

3月  2日

・「台風第21号による被害報告」決済文書

・「砂川小学校プールフェンス修繕(災害普及)」決済文書

・「H30プール一般開放の熱中症対策及びウェブサイトの更新」決済文書


(再質問)請求を受けて提出した資料について
1.提出先は議員個人か?

(再回答)泉南市議会基本条例第9条第4項に基づく市議会議員からの資料請求により資料を提出している。

質問→回答再質問再回答  ここまで



この再回答からわかること  

 提出日が全て5月以降であること、また「泉南市議会基本条例第9条第4項に基づく」とあるので、同条例の第11条に基づく予算及び決算の審議に当たって「議会」への資料提出はなかったことがわかります。

泉南市議会基本条例はこちら(PDFファイル) 

 


ここから再質問再回答

4.請求を受けずに提出した資料はないのか?

(再回答)市から市議会(協議会、委員会を含む)へ事業報告や説明を行う必要が生じたときは、参考資料として提示する場合がある。

 

5.提出時期がR1.5月以降になっているが、H30.9.4台風以降H31.3月議会で示した資料はないのか?

(再回答)プールに関して、資料請求以外に市議会等へ説明を行った際に示した資料は、下記の通り。

・平成31年第1回定例会厚生文教常任委員会の報告事項として「市立学校プールの在り方」について説明を行い、資料を提示済み。

・平成31年第2回市議会厚生文教常任委員会の報告事項として「学校園プール授業について」説明を行い、資料を提示済み。

・平成31年度第4回定例会厚生文教常任委員会の報告事項として「令和2年度水泳授業について」説明を行い、資料を提示済み。

再質問再回答  ここまで 



この再回答からわかること

 再回答の厚生文教常任委員会が委員会名なのか、会議名なのかがわかりにくいです。会議名だとすると、3月の予算審議に関係するのは、平成31年3月13日の(第1回)厚生文教常任委員会と思われます。しかし、同委員会の議事録を見ても説明箇所が見当たりません。(そもそも議案にない)そこで、議員のツイッターやブログを調べた結果、3月4日の厚生文教常任委員協議会で「市立学校プールのありかた」の説明があったことがわかりました。

再回答に委員会名か会議名かよくわからない名称が3つ並んでいますが、これは回答のあったメールの原文ママです。

平成31年第1回定例会厚生文教常任委員会

平成31年第2回市議会厚生文教常任委員会

平成31第4回定例会厚生文教常任委員会

平成31年は4月までだったのに、第2回も第4回も平成31年と表記しています。厚生文教常任委員協議会2019年(平成31年、令和元年)第1回は3月4日、第2回は6月1日、第3回は9月2日、第4回は11月29日に開催されています。しかも第4回は年度表記です。泉南市議会会議録を見ても年度表記する委員会は予算や決算に関するものだけなのに、何故?ここで年度表記??? 

 さらに、「定例会」と「市議会」を交互に挟むというややこしさ。泉南市では、「定例会厚生文教常任委員会」「市議会厚生文教常任委員会」という名称を本当に使い分けているのでしょうか。

 

 下記の議事録からも厚生文教常任委員協議会でプールの説明があったことがわかります。 

2019.3.6 平成31年第1回定例会
 先日、厚生文教常任委員協議会でプールの話が出た。自然に触れ合うきっかけ、外で遊ぶ機会を重要視されている保護者多い。屋外プール必要。87 ○8番(古谷公俊君) 

 他市の教育委員会事務局の人に話したら、「泉南市公共施設等最適化推進実施計画の前倒し(計画変更)をなぜ教育委員会が決めてるのか」と指摘を受けました。確かに、「泉南市公共施設等最適化推進実施計画」の担当は行革・財産活用室なので、行革・財産活用室が建物の劣化状況の把握のための劣化調査表、固定資産台帳などの資料を用意し、行財政問題対策特別委員会で説明しないといけませんね。

 教育委員会は、「泉南市公共施設等最適化推進実施計画」にあるp.57の 2.施設別 第1期実施計画を前倒しするのですから、「学校プール授業の民間活力の活用について検討」と「カリキュラムにおける水泳の取扱いについて検討」について説明する必要があります。 


 つまり、教育委員会は、「市立学校プールのありかた」という資料のみを平成31年3月4日の厚生文教常任委員協議会で報告事項として説明しただけです。平成31年3月13日の第1回厚生文教常任委員会では審議案件ではないので、学校プールのことは話し合っていません。

 第1回定例会でも厚生文教常任委員会から上がってきた審議案件にないので、厚生文教常任委員協議会に出席していた議員が、代表質問や一般質問で少し取り上げた程度です。

 平成31年度予算審査特別委員会では議員個人にも議会にも資料提供がなかったので、厚生文教常任委員協議会に出席していない議員はプールに関して質問をしていません。

 「市立学校プールのありかた」のページで詳しく触れますが、厚生文教常任委員協議会で示した内容も十分なものとは言えません。固定資産台帳や老朽化度調査結果の資料提供と説明が行われていないのです。つまり、全ての議員に対して、固定資産台帳や老朽化度調査結果の資料提供と説明が行われず、議員は学校プールの廃止が「泉南市公共施設等最適化推進実施計画」に基づくものとの説明を受けていません。このような状態で予算審議において十分議論したと言えるのでしょうか。


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