「住民監査請求に係る監査の結果について」(令和7年5月27日付け 泉南監第27号)の文書と 「泉南市職員措置請求に係る監査結果」の文書について
2025(令和7)年6月2日
泉南市監査委員 川瀬 智則 様
泉南市監査委員 河部 優 様
泉南市監査委員事務局 川村 様
泉南市職員措置請求(令和7年3月31日付け) 請求人
古谷悦子
(提出した文書には住所を記入し、自署してあります)
「住民監査請求に係る監査の結果について」(令和7年5月27日付け 泉南監第27号)の文書と「泉南市職員措置請求に係る監査結果」の文書に、事実と異なる記載があるため、その事実と異なる箇所を示し、請求人が2025(令和7)年3月31日に提出した文書の内容をお伝えします。
もし、監査委員の皆様がご覧になった請求人提出の文書の内容が、本文書で示した内容と異なっていた場合、それは請求人が提出した文書ではありません。しかるべき処置をお願いします。そして、泉南市監査委員事務局は、請求人から受け取った文書に、本文書で指摘した記載があったとするならば、本文書に反論し、請求人から受け取った文書に請求人が指摘した記載があることを請求人に示してください。本文書のPDFを電子メールでも送信します。反論がある場合、電子メールか文書でお願いします。
請求人は、地方自治法第242条第1項の規定により、2025(令和7)年3月31日に「泉南市職員措置請求書」及び以下の標題の文書を泉南市監査委員事務局に提出しました。
- 泉南市中学生のいじめ自死に対する泉南市教育委員会と泉南市長の対応と調査について
- 泉南市いじめ自死に関する情報公開一覧
- 事実証明書(情報公開された文書)
「泉南市中学生のいじめ自死に対する泉南市教育委員会と泉南市長の対応と調査について」の文書は、泉南市の公文書や報道内容の情報を記載し、これまでの経緯をまとめたもので、請求人の手元にはいくつかのバージョンがあります。2025年3月15日、翔さんに今まで調べてきたことを報告するためにご遺族にお渡しした2025年3月15日のバージョン、同年3月18日の翔さんの命日にX(SNS)で公開した2025年3月18日のバージョン、そして同年3月31日に「泉南市職員措置請求書」と一緒に提出したバージョンがあります。文書の冒頭に「ここには監査請求の内容を書くつもりです。」とあるのは、Xで公開したバージョンのまま、消し忘れたためであり、「泉南市中学生のいじめ自死に対する泉南市教育委員会と泉南市長の対応と調査について」の文書には、監査請求の内容は記載していません。
「泉南市いじめ自死に関する情報公開一覧」の文書は、これまでに松波翔さんの事案に関する情報公開請求をした文書の一覧です。請求内容と、泉南市情報公開決定通知書及び泉南市情報非公開決定通知書で通知された内容を一覧にし、請求人が情報公開請求書ごとに記号を付して一覧にしています。
「事実証明書」は、「泉南市中学生のいじめ自死に対する泉南市教育委員会と泉南市長の対応と調査について」の文書の「ソース、出典」の欄に記載した情報公開の記号(請求人が付したもの)に該当する泉南市情報公開決定通知書及び、泉南市情報非公開決定通知書と公開された文書をコピーして提出しました。
請求人が上に示した文書を提出したのち、監査が行われ、2025(令和7)年5月27日に、以下の文書を速達書留で受け取りました。文書はひとまとめにされ、左側2点をホッチキス留めしてありました。綴られていた順番どおりに番号を付け、以下に示します。
- 文書標題「住民監査請求に係る監査の結果について」(片面印刷 1ページ分)
文書記号番号:泉南監第27号 文書日付:令和7年5月27日
- 住民訴訟の期限が書かれたもの(片面印刷 1ページ分)
- 文書標題「泉南市職員措置請求に係る監査結果」(両面印刷 11ページ分)
文書記号番号と日付の記載はなし
上に示した1番と3番の文書の記載内容が事実と異なります。1番の文書に記載された「令和7年3月31日付(泉南監第117号)」と、3番の文書に記載された「第2 請求の要旨」の内容が、事実と異なる箇所です。
「住民監査請求に係る監査の結果について」(泉南監第27号)の文書に記載された
「令和7年3月31日付(泉南監第117号)」
次に、「住民監査請求に係る監査の結果について」の文書の写真を示します。文書の赤い印は請求人によるものです。
上の写真のとおり、標題「住民監査請求に係る監査の結果について」の文書には、「令和7年3月31日付(泉南監第117号)」をもって住民監査請求があったことが記載されています。請求人は、泉南市監査委員事務局が付した記号番号を示されても、何の文書のことなのか判然としないので、文書を受け取った翌日の5月28日に電子メール(以下、メールと記す)にて泉南市監査委員事務局に問い合わせをしました。
問い合わせのメールに、届いた文書3点(本文書と同様、番号を付しました)と、私が3月31日に提出した「泉南市職員措置請求書」の1ページ目を写真で示し、「住民監査請求に係る監査の結果について」の文書に記載された「令和7年3月31日付(泉南監第117号)」とは何なのかを質問しました。メールから当該質問を以下に引用します。質問は他にも4つあり、当該質問は「質問2」でした。
質問2
1番の文書に記載されている「令和7年3月31日付(泉南監第117号)」とは
何ですか?
私の知らないところでつけた文書番号で文書を示されても分かりません。
私が令和7年3月31日に監査委員事務局に提出した「泉南市職員措置請求書」の
写真を添付します。泉南市監査委員事務局の受付印が押印されていますが、
受付番号は記載されておりません。
5月30日午前11:01に、返信がなく私のメールが届いているかどうかもわからなかったので、28日のメールを再送しました。再送したメールに同日17:32に返信があり、添付ファイル「質問の回答について(2025.5.30).pdf」に当該質問の回答が記載されていました。その回答を添付ファイル「質問の回答について(2025.5.30).pdf」より引用します。
回答: 「令和 7年 3月 31日付(泉南監第 117号)」とは令和 7年 3月 31日に古谷悦子様が請求された泉南市職員措置請求書です。請求書が監査委員事務局に到達した時点で収受印を押印しますが、正式な受理決定ではなく、その後、審査が行われ、受理が決定した時点で文書番号がつけられます。
私は、令和7年3月31日に「泉南市職員措置請求書」を請求しておりません。この回答は事実と異なります。
返信メールを送付した川村氏が、記載し間違えたのかとも考えましたが、同年5月27日に私が受け取った、標題「泉南市職員措置請求に係る監査結果」の文書の「第2 請求の要旨」の内容も、「一部請求書原文引用」とされているにも拘らず、令和7年3月31日に請求人が提出した「泉南市職員措置請求書」の記載内容と異なります。
監査委員に提出された「泉南市職員措置請求書」と請求人が令和7年3月31日に提出した「泉南市職員措置請求書」が同一のものなのか、泉南市議会議員である河部委員におかれましては、市政を監視するためにも確認していただきたいです。
以下に「泉南市職員措置請求に係る監査結果」の文書に記載された「第2 請求の要旨」の内容と請求人が提出した「泉南市職員措置請求書」を比較します。
「泉南市職員措置請求に係る監査結果」の文書に記載された「第2 請求の要旨」の内容
以下は「泉南市職員措置請求に係る監査結果」の文書に記載された「第2 請求の要旨」の
「1 対象となる行為」の画像と、請求人が「泉南市職員措置請求書」に記載した「請求の対象となる財務会計上の行為」及び「市に生じる損害」の画像を並べたものです。(着色は請求人)
緑色にした箇所は、請求人が提出した、いかなる文書にも記述したことがない内容であり、意見陳述の際にも述べていない内容です。青色にした箇所は、私の請求書の文言を組み合わせたものです。ピンクにした箇所は、「泉南市職員措置請求に係る監査結果」に記載されなかった内容です。
「泉南市職員措置請求に係る監査結果」の文書には「一部請求書原文引用」と書かれていますが、引用箇所は、はっきり示されず、請求人が「泉南市職員措置請求書」に記していない事柄が記載されています。
前ページの緑色で印をつけた箇所を見てください。請求人は泉南市教育委員会の附属機関である「泉南市いじめ問題対策委員会」のことを、いかなる文書にも「教育委員会附属の第三者委員会」と記載したことはありません。同様に、市長の附属機関である「泉南市いじめ再調査委員会」のことを「市長部局附属の第三者委員会」と記載したこともありません。
「市長部局付属の第三者委員会『泉南市いじめ再調査委員会』」なるものをでっち上げておいて、その後に「市長の附属機関においては」(青い印の部分)と続けるのでは、請求人が「市長部局の第三者委員会『泉南市いじめ再調査委員会』ではなく、別の附属機関において、いじめ以外の背景のある自死事案として調査した」と述べていると読み取れます。続く緑色で印をつけた箇所には、「教育委員会附属の『泉南市いじめ問題対策委員会』と記載し、附属機関以外の組織で調査が行われたと請求人が述べていると読み取れるようにしています。
前ページのピンク色で印をつけた箇所を見てください。請求人が「泉南市職員措置請求書」で述べた、泉南市教育委員会と市長の違法行為についての記載が「泉南市職員措置請求に係る監査結果」には記載されていません。翔さんの事案に対して、泉南市教育委員会と泉南市長が行なった違法行為について請求人は、監査委員事務局に提出した文書でも、意見陳述でも述べました。しかし、「泉南市職員措置請求に係る監査結果」の文書には一切記載されていません。
「泉南市職員措置請求に係る監査結果」の文書の「第2 請求の要旨」の「2 請求対象となるべき事実の提示」の記載内容も、請求人の事実認識と異なります。請求人が「泉南市職員措置請求書」に記載した内容ではありません。「泉南市職員措置請求書」と一緒に提出した「泉南市中学生のいじめ自死に対する泉南市教育委員会と泉南市長の対応と調査について」に記載した内容とも異なりますし、2025(令和7)年4月23日の意見陳述時に述べた内容とも異なります。
以下は「泉南市職員措置請求に係る監査結果」の文書に記載された「第2 請求の要旨」の
「2 請求対象となるべき事実の提示」(1)の画像です。
請求人は、「『泉南市いじめ問題対策委員会』にすでに(6月8日に)諮っていることが記載されているにもかかわらず、当時の教育部長がまだ設置していないが新たに第三者委員会を立ち上げる旨の答弁をしている」と述べたことはありません。
意見陳述において、以下のとおり述べました。陳述原稿より引用します。
当該生徒の事件を泉南市いじめ問題対策委員会で扱うにはいじめ重大事態として扱うしかないのです。6月8日の泉南市いじめ問題対策委員会が、泉南市いじめ問題対策連絡協議会等条例第12条第1号の所掌事務として執行されているのならば、それはいじめ防止対策推進法の趣旨に基づいているとは言えません。同条例、同条、2号の所掌事務として執行されているのならば、教育部長が7月21日に行った議員への説明と齟齬が生じます。
(中略)
7月21日時点では、松波翔さんの事案は、いじめ重大事態として扱われていなかったのです。6月8日のいじめ問題対策委員会開催は、何を根拠に開催されたのか、適切に執行されていたのかをぜひ調べていただきたいと思います。
画像の青く印をつけた箇所を見てください。「泉南市職員措置請求に係る監査結果」の文書には、「教育委員会が当該中学生自死事案について令和4年7月21日に開催した議員全員協議会にて説明のため使用した、資料1」との記載がありますが、当該議員全員協議会の資料のことを泉南市教育委員会は「資料1」と呼称していません。7月21日の議員全員協議会の資料の標題は「報道されている市立中学生の死亡事案について 議員全員協議会資料」です。
画像のピンクの印の箇所に「事実証明書90ページ」とありますが、請求人が提出した文書で、90ページに議員全員協議会の資料を掲載した文書は、標題「泉南市中学生のいじめ自死に対する泉南市教育委員会と泉南市長の対応と調査について」です。事実証明書として請求人が提出したのは、泉南市情報公開決定通知書、泉南市情報非公開決定通知書、公開された文書であり、ここも事実と異なります。
また、請求人は、「既設の附属機関と、新たに立ち上げる第三者機関の2つの調査組織」と述べたこともありません。意見陳述において、以下のとおり述べました。陳述原稿より引用します。
教育委員会がいじめ防止対策推進法に則って翔さんの事案を調査するには、つまり調査の主体を教育委員会とするならば、いじめ重大事態として調査しなければなりません。そしてその調査組織は、教育委員会の附属機関として設置された「泉南市いじめ問題対策委員会」となるはずなのです。しかし、7月21日の議員全員協議会の資料2ページには、
(中略)
調査組織を泉南市いじめ問題対策委員会と明示しないばかりか、泉南市いじめ問題対策委員会以外に第三者委員会を立ち上げるかのように書かれています。
そして、「泉南市いじめ問題対策委員会」と述べて、附属機関名を明示した説明においても、所掌事務ごとに別の「泉南市いじめ問題対策委員会」が存在していて、いじめ重大事態の調査は、泉南市いじめ問題対策委員会を新たに立ち上げなければならないというような虚偽の説明を行っています。
どうしてこのような嘘を交えた説明を行っているのでしょうか?
既設の附属機関と、新たに立ち上げる第三者委員会の2つの調査組織を設けるということは、翔さんの事案に対して、2つの調査を行うと考えられます。泉南市教育委員会は、翔さんの事案に対する調査を複数行うために事案の判断を変えて、調査を二重に行っています。
以下は「泉南市職員措置請求に係る監査結果」の文書に記載された「第2 請求の要旨」の
「2 請求対象となるべき事実の提示」(2)の画像です。ピンクの印は請求人がつけました。
請求人は、「自死案件」「いじめ重大事案」との言葉を使っておりません。何のために、「いじめ重大事態」のことを「いじめ重大事案」と書き換えるのでしょうか。そして、請求人は、「基本調査を行い、いじめ重大事態以外の自死案件と判断した」「教育委員会が基本調査を行った」といかなる文書でも、陳述でも述べていませんし、認識もしておりません。教育委員会が翔さんの事案を「いじめ重大事態以外の自死事案」と判断したのは、いじめ問題対策委員会の調査の結果を受けてだと認識しています。意見陳述時に、以下のとおり述べました。陳述原稿より引用します。
泉南市教育委員会は、翔さんの事案の判断を死亡事案、いじめ事案、自死事案と変えることで、それぞれの事案ごとに調査を行っています。子供の自殺が起きたときの背景調査の指針改訂版の1ページをご覧ください。「改訂版作成の趣旨」には、「児童生徒の自殺が、いじめにより生じた疑いがある場合は、いじめ防止対策推進法に規定する「重大事態」として、事実関係の調査など、必要な措置が法律上義務付けられることになりました」と記載されています。泉南市教育委員会は、これを利用して、ご遺族と連絡が取れず、死因が確認できないとして、翔さんの事案を「自殺が疑われる死亡事案」としました。つまり、死因が確認できず、自殺かどうかわからないので、いじめ重大事態として対処できない、という理屈です。中学校は、翔さんの事案を自殺が疑われる死亡事案として子供の自殺が起きたときの背景調査の指針改訂版にある、基本調査を行いました。
そしてご遺族代理人に死因の確認を行ったとされる8月3日までの間、つまりいじめ重大事態に該当する事案と判断することができるようになるまでの間の6月8日に、いじめの有無の事実確認の調査を泉南市いじめ問題対策委員会で行いました。このいじめの有無の事実確認により、事案の判断を死亡事案から、いじめが背景にない自死事案に変えたと思われます。
いじめ重大事態と判断する前に、組織を設けての調査(泉南市いじめ問題対策委員会での調査)を行うのは、いじめ防止対策推進法の趣旨に反します。
引用ここまで
以下は「泉南市職員措置請求に係る監査結果」の文書に記載された「第2 請求の要旨」の
「2 請求対象となるべき事実の提示」(3)の画像です。ピンクの印は請求人がつけました。
上の写真を見ると、市長の附属機関である「泉南市いじめ再調査委員会」において翔さんの事案を調査することができるように条例改正したことが記載されていません。
いじめ重大事態の調査に関するガイドライン11ページに記載された分析(学校いじめ防止基本方針に基づく対応は適切に行われていたか等の分析)が行われていない理由は、市長の行った調査がいじめ重大事態の調査ではないからです。翔さんの事案をいじめ重大事態として対処し、調査を行ったのであれば、附属機関の所掌事務を改正して該当要件をいじめ以外に広げる必要はありません。上の写真には、分析が行われていない理由にあたる「市長の行った調査がいじめ重大事態の調査ではない」ということが記載されていません。
また、請求人は「市長の諮問書において教育委員会が当該中学生自死事案を『泉南市いじめ問題対策委員会』に諮っていたことは書かれていない」と述べていません。以下のとおり陳述しました。陳述原稿より引用します。
ご遺族の要望により、翔さんの調査は、表面上、市長が行うことになりました。泉南市長は、翔さんの事案をいじめ以外の背景のある自死事案と判断して、附属機関「泉南市いじめ再調査委員会」で調査することができるように泉南市いじめ問題対策連絡協議会等条例第20条の泉南市いじめ再調査委員会の所掌事務を改正しています。改正しなければ、泉南市いじめ再調査委員会では、いじめに関係しない事案を扱うことができないからです。
市長の行った調査はいじめ重大事態の調査ではないので、先に説明した、いじめ重大事態の調査に関するガイドライン11ページに記載された分析が行われておらず、報告書には分析結果が記載されていません。(分析)
○ 調査においては、法第13条の学校いじめ防止基本方針に基づく対応は適切に行われ
ていたか、学校いじめ対策組織の役割は果たされていたか、学校のいじめ防止プログ
ラムや早期発見・事案対処のマニュアルはどのような内容で、適切に運用され機能し
また、市長の調査の報告書には、泉南市いじめ問題対策委員会において、教育委員会が何を調査していたのか、全く記載がありません。市長の諮問書(令和5年1月27日付け泉南総第17号)においては、(4)生徒の自死した後における関係者の対応状況を明らかにするとともに、その対応が適切であったか考察することが諮問されているにもかかわらず、泉南市教育委員会が翔さんの事案を泉南市いじめ問題対策委員会に諮っていたことは考察されていません。
○ 調査においては、法第13条の学校いじめ防止基本方針に基づく対応は適切に行われていたか、学校いじめ対策組織の役割は果たされていたか、学校のいじめ防止プログラムや早期発見・事案対処のマニュアルはどのような内容で、適切に運用され機能していたかなどについて、分析を行うこと。
この分析はどこで行われているのでしょうか。私は教育委員会の附属機関、泉南市いじめ問題対策委員会で行われたと考えています。
引用ここまで
以下は「泉南市職員措置請求に係る監査結果」の文書に記載された「第2 請求の要旨」の
「2 請求対象となるべき事実の提示」(4)の画像です。ピンクの印は請求人がつけました。
上の画像を見ると、「当該中学生自死事案については法第13条の学校いじめ基本方針に基づく対応は適切に行われていたかの分析が行われていなかったが」と記載されていますが、請求人は「市長の調査では」分析が行われなかったと陳述しました。市長の調査では法第13条の基本方針に基づく対応が行われていたかの分析は行われていなかったが、教育委員会が行った「泉南市いじめ問題対策委員会」を調査組織とする調査で、その分析が行われていると述べたのです。
令和4年8月1日の教育委員会臨時会で報告された事案の、いじめ防止対策推進法第28条第1項の調査の文書として情報公開された、「泉南教委指第708号、令和5年5月11日付けの諮問書」の諮問事項を見て、市長の調査では行われなかった分析が、この諮問で行われたのではないかと考え、その旨を陳述しました。
そして、請求人は「この報告の中では基本方針に照らしての分析が行われている」と提出した文書に記述していませんし、陳述でも述べていません。泉南市教育委員会が、泉南市いじめ問題対策委員会に令和5年5月11日に諮問したのが、法第13条の学校いじめ基本方針に基づく対応は適切に行われていたのかの分析なのではないかと述べたのであって、「この報告」とは述べていません。「泉南市職員措置請求に係る監査結果」では、令和4年8月1日の泉南市教育委員会で報告が行われたことを先述し、「この報告の中では基本方針に照らしての分析が行われている」と記述して、請求人が、泉南市いじめ問題対策委員会での分析を、あたかも教育委員会臨時会での報告の中で分析が行われたと述べたかのように、記述しています。
そして令和4年8月1日に教育委員に報告された事案は、翔さんの事案であると考える理由を述べたのに、その理由を省かれています。以下のとおり陳述しました。陳述原稿より引用します。
令和4年8月1日に、泉南市教育委員会会議の臨時会が開催され、報告第2号として、「泉南市立学校におけるいじめ事案に係る重大事態について」が報告されています。私は、この報告は松波翔さんの事案の報告だったと考えています。8月2日、翔さんとお兄さんのいじめ被害について記載された子どもの権利条例委員会の第10次報告を市長が受け取りました。8月3日には、翔さんの死因が自殺であるということを泉南市教育委員会は、ご遺族代理人に確認しました。市長が報告を受けとる前に、死因が確認される前に、翔さんの自死の背景にいじめがなかったことを教育委員に報告する必要があったのではないかと考えています。8月1日の教育委員会会議臨時会で報告された「いじめ事案に係る重大事態」が翔さんの事案であることを立証するために、令和5年7月25日に情報公開請求を行い、その後審査請求を行ったことを、分厚い資料の122ページに記載しています。
泉南市教育委員会は、令和4年8月1日に開催された泉南市教育委員会会議令和4年第1回臨時会で報告された事案が、松波翔さんの事案とは別の事案に見せかけるために、法第30条第1項、第28条第1項の文書には該当しない文書を私に公開しています。当該情報公開請求は、令和5年7月25日に請求しました。ほぼ1年後、審査請求を受けての裁決が行われましたが、臨時会で報告されたいじめ事案に係る重大事態の法第28条第1項の文書についてはあらためて処分を行うということで、令和6年8月20日付け泉南教委指導第868号泉南市情報公開決定通知書で、再度、公開決定が通知され、先ほどお配りした、諮問書を含む710ページ分の文書が公開されました。
先ほどお配りした泉南教委指第708号、令和5年5月11日付けの諮問書をご覧ください。文書の標題は「いじめ防止対策推進法第28条第1項に基づく調査の実施について(諮問)」の文書です。この文書は、冒頭、泉南市いじめ問題対策連絡協議会等条例第12条第2項に基づき、との記載がありますが、泉南市いじめ問題対策連絡協議会等条例第12条に第2項は存在しません。そして諮問書に添付された資料が一人分とは思えないほど多いこと、諮問の前に、学校に資料を提出するように教育委員会が依頼をして、その資料について諮問していると思われることなどから、この諮問はいじめ重大事態の調査ではなく、当該学校のいじめ事案について諮問したものだと考えています。
記の下の、諮問事項をご覧ください。
1 黒塗り学校におけるいじめに関する事実の有無
2 当該学校が行った調査内容の検証及び調査結果の評価
3 当該被害生徒への支援体制の検証
4 当該関係生徒に対する黒塗り学校及び泉南市教育委員会の対応についての検証
5 同種の事態の再発防止のために黒塗り学校及び泉南市教育員会が執るべき措置等の検討
これは、いじめの重大事態の調査に関するガイドラインの14ページ、調査結果を踏まえた対応の再発防止、教職員の処分等に該当する内容です。ガイドラインには、
学校の設置者は、調査結果において認定された事実に基づき、いじめの未然防止、早期発見、対処、情報共有等の学校の設置者及び学校の対応について検証し、再発防止策の検討を行うこと
学校の設置者及び学校におけるいじめ事案への対応において、法律や基本方針等に照らして、重大な過失等が指摘されている場合、教職員に対する聴き取りを行った上で客観的に事実関係を把握し、教職員の懲戒処分等の要否を検討すること
と書かれています。二つ目の丸の箇所に学校の設置者及び学校におけるいじめ事案への対応において、と書かれていますが、これは先ほども説明しましたように、いじめ重大事態が、いじめ事案であった時の対応です。これはいじめ重大事態の調査結果を踏まえた対応なのです。
翔さんの事案に対する市長の調査では、法第13条の学校いじめ防止基本方針に基づく対応は適切に行われていたか、などの分析が行われませんでした。翔さんの事案をいじめ重大事態として扱わなかったために、基本方針に照らしての職員の対応の分析ができませんでした。市長の調査の陰で、泉南市教育委員会の附属機関、泉南市いじめ問題対策委員会において、翔さんの事案をいじめ事案に係る重大事態と称して、ご遺族や市民の知らないうちに分析や検証が行われていたのではないかと考えています。
そして、泉南市いじめ問題対策委員会での分析、検証が終わったのちに、内省作業と称して、ご遺族代理人を呼び出し、ご遺族に説明したという証拠の録音でもしているのだろうか、と思っています。
令和4年6月8日の泉南市いじめ問題対策委員会開催の起案決裁文書には、いかなる法規に基づき開催されるのか、明記されていませんでした。泉南市の起案決裁文書には、根拠となる法規の条番号、項番号を明記しないのが、常態化しているのではないかと考えています。もともと令和4年に翔さんの事案についていじめ重大事態の調査の諮問を行なっているのか、それとも令和5年5月11日に、いじめ事案の一つとして、他の事案に紛れ込ませて諮問しているのか、私にはわかりませんが、どちらか一方について追求されたら、起案決裁文書に、明記していなかった根拠となる法規の条番号、項番号を後から書き足しているのではないか?とも考えています。
引用終了
以上のように、「泉南市職員措置請求に係る監査結果」の文書の「第2 請求の要旨」には、請求人が述べていないことを、あたかも請求人が述べたかのように記載されています。そして請求人が述べてもいないことを基に「(3)監査委員の判断」が行われています。
請求人は、「基本調査」を泉南市教育委員会が行ったものだと述べていませんし、基本調査を行うことで教育委員会が翔さんの事案をいじめ重大事態以外の自死案件と判断したと主張していません。
市長の附属機関でいじめ以外が背景にある自殺の調査も行えるように条例改正を行ったことや、6月8日の泉南市いじめ問題対策委員会開催の根拠として、翔さんの事案を1号の所掌事務として扱うことはできないと指摘したこと、教育部長が7月25日の教育委員会定例会で、既設の附属機関を所掌事務ごとに別の組織として新たに立ち上げるという発言をしていること、翔さんが自死したという事態に対して、「死亡事案」とすることで、いじめ重大事態には該当しないとし、その間にいじめの有無の事実確認を組織を設けての調査で諮ったこと、請求人が指摘した数々の法律、条例違反について、指摘がまるでなかったかのように扱い、根拠がないように言われるのは極めて心外です。
市長の調査についても、「報告書」に教育委員会が泉南市いじめ問題対策委員会で翔さんの事案を諮った記載がないと述べたのに、「諮問書」に記載がないと事実が歪められています。
令和4年8月1日開催の教育委員会臨時会で報告された事項については、会議録が黒塗りで、請求人は当該報告の内容を知り得ません。請求人は、教育委員会臨時会で報告された事案の、いじめ重大事態の調査の文書として公開された、「泉南市いじめ問題対策委員会宛の諮問書」を見て、法第13条で規定された学校いじめ基本方針に則って学校が翔さんの事案に対応していたのかの分析を、令和5年5月11日以降、泉南市いじめ問題対策委員会が行なっていたのではないかと述べているのです。
今後、請求人が提出した文書や陳述で述べていた、述べていないということが争点になるのは避けたいので、事実と違うことを指摘しておきます。
請求人は、松波翔さんの尊厳が回復されること、そして、泉南市で二度と同じようないじめ重大事態が発生しないことを願っています。そのためにも、松波翔さんのいじめ重大事態の調査をやり直すべきです。
以上